農作業安全コラム

農業機械の公道での事故について

R3年11月 滝元 弘樹

 11月です。このコラムを書いているのは10月半ばですが、だんだんと朝晩冷えることが多くなってきました。それでもまだ日中は暖かく、比較的過ごしやすい季節です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 農林水産省では、「農作業事故等の情報収集の強化に向けた要請について」(令和2年5月19日付け2生産第302号農林水産省生産局長通知)に基づき、都道府県、農機具販売業者、製造事業者等から収集した農作業死亡事故、負傷事故の情報を発生月毎に集計し公表しています(令和2年6月発生分から実施)。9月30日にホームページ上に公開された情報別ウィンドウによりますと、令和3年8月に発生した農作業死傷事故31件のうち、農業機械作業に係る死傷事故は23件(乗用型トラクター:6件、動力防除機:6件、コンバイン:4件ほか)となっています。
 今月のワンポイントというコーナーでは、軽トラックの追突を受けたコンバインの運転手が重傷を負うという事故が報告されています。農業機械の公道での死傷事故発生件数は10月が年間で最も多く、その内訳は交差点等のない道路を走行中に追突される事故が過半数を占めています。
 同ページでは追突事故に遭わないための対策として、①後続車からの視認性向上のための低速車マークや反射シールの取り付け、②法令遵守だけでなく事故防止のための作業機への灯火類設置、③万が一のためのシートベルト・ヘルメットの着用習慣化が挙げられています。その他にも、すでに設置されている灯火や低速車マーク等に電球切れや汚れが無いかの確認や、後続車を確認するためのバックミラーの点検・調整が考えられます。
 また、後続車に道を譲る際には、できるだけ広い場所で行うようにしましょう。幅が狭い道路や雑草等で道路際が見にくい場所での運転は、脱輪による転倒・転落といった思わぬ事故につながるおそれがあります。
 当サイトのコンテンツである「事故事例検索」から、機械の追突・衝突による事故事例を見ることができます。現時点で公開されている事例はトラクターのみですが、事故要因や対策方法について詳細な分析がされています。その他の事故についても、作目、事故形態、機械用具名称別に検索して個別に分析結果を確認することができますので、ぜひご活用ください。

 このコラムを読んで改めて日常の運転について気を付けていただければ幸いです。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/乗用トラクター/コンバイン(自脱型/普通型)/運搬・移動
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