農作業安全コラム

声に出してみませんか

R4年2月 皆川 啓子

 まもなく冬季オリンピックが開催されます。どの競技を見ても選手が頑張っている姿に励まされます。スポーツ観戦を楽しむには、やはり種目ごとのルールを知った上で見た方が面白いです。ただ、馴染みのない新しい種目のルールは、加齢のせいとは思いたくありませんが、なかなか頭に入りにくくなってきました。
 馴染みのないスポーツ観戦と言えば、数年前に知人に誘われて、初めてアメリカンフットボールを観に行く機会がありました。簡易版ルールブックが会場で配られており、私はパラパラと眺めていると、連れの一人が隣で音読し始めました。それをきっかけに、このルールはどういうプレイなのか等について、皆で意見を交わしながら読み進めると、いつの間にか何となくわかった気になり、その日の観戦はとても楽しいものとなりました。

 翻って、機械や道具を買うと、必ず取扱説明書が付いてきます。取扱説明書は、いわば機械等を使うためのルールブックです。一人で読み進めても面白くないかもしれませんが、同じ機械を持っている人や機械を使用する人全員で、シーズンオフの今、一緒に声に出して読み合わせてみてはいかがでしょうか?ゲームの攻略本のように、それまで気づいていなかった機能を見つけたり、ルール違反となる禁止事項を改めて確認したりするきっかけにつながります。一人で読み進める場合でも、声に出してみると頭に入ります。私は小学生のとき、国語の音読の宿題が大嫌いでしたが、今でも教科書にあった一節を覚えていることを思うと、音読すると記憶に残りやすいのだな、と近年やっと気がつき、今では、意識して声を出しながら読み進めることを心がけることもあります。
 また、他産業では、指差し呼称により、「目、腕・指、口、耳」を全て使って確認をすることで、不安全行動の未然防止につなげています。特に、共同作業の場合には、目視のみではなく、声に出して安全確認をすることで、共同作業の相手にも次の正しい行動が伝わりやすくなります。機械作業では、一瞬のミスが事故につながるため、お互いに声をかけあって作業をすることが大切です。お互いの行動をわかっている「つもり」での行動が、思いがけない事故につながることもあります。

 声を出すことは気恥ずかしい、という人もいるかもしれませんが、農業においても、事故なく確実に仕事を行うためには大切なことです。ぜひルールとしてやってみませんか?

 

キーワード:安全装置・対策
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