農作業安全コラム

ロボット・自動化農機検査の紹介 その3

R4年9月 紺屋 秀之

 これまで、農機研が実施しているロボット農機検査の、「人・障害物検出機能確認試験」「運転状態表示確認試験」についてご紹介させていただきましたが、今回は第三弾として「遠隔操作装置の安全機能確認試験」の内容についてご紹介します。なお、ロボット農機検査の対象機種については、ロボット農機検査の運用が開始されました2018年4月時点ではトラクターのみでしたが、2020年11月から新たに田植機が加わりました。

 現状、ロボット農機とは、ほ場内やほ場周辺から使用者が監視している下で、無人で自動運転させる農業機械をいいます。ロボット農機を離れた位置から監視する際に必要となるのが、無人のロボット農機に対して自動運転の開始や自動運転の停止の操作を行うための遠隔操作装置、いわゆるリモコンです。「遠隔操作装置の安全機能確認試験」は、遠隔操作装置について以下の安全要件を満たしているかどうかを確認します。
① 自動運転を開始する操作に関しては誤操作防止機能を有していること
② 自動運転を停止する操作を行った場合は、ロボット農機及び稼働部(トラクターの場合:作業機、田植機の場合:植付部、以下同様)は自動停止すること
③ ロボット農機と遠隔操作装置間に通信遮断等の障害が発生した場合は、ロボット農機及び稼働部は自動停止すること

 ①の誤操作防止機能とは、遠隔操作装置のボタンの長押しや2つのボタンの同時押しといったような意図した操作でのみロボット農機の自動運転が開始される機能です。これにより、例えばロボット農機の近くに人や障害物がある状況で、簡単な操作や不意の操作といった誤操作で自動運転が開始されてしまい事故が起きてしまうことを防ぐことができます。
 ②の停止操作については、監視者が非常時に遠隔操作装置にてロボット農機の自動運転を停止できることを求めていますが、その際は、走行だけでなく、トラクターに装着しているロータリ等の作業機や田植機の植付部の駆動も停止させる必要があります。
 ③については、ロボット農機と遠隔操作装置は常に通信がつながっている必要があるということです。もしも遠隔操作装置が故障していたり電源が切れていたりして、非常時に停止操作をしたのに停止信号がロボット農機に届かないようなことが起きないように、通信遮断等の障害が発生した場合は、その時点でロボット農機及び稼働部は自動停止することを求めているものです。

 以上、今回はロボット農機検査の遠隔操作装置の安全機能確認試験についてご紹介させていただきました。今後も、「ロボット・自動化農機検査」のその他の試験の内容につきましてご紹介させていただければと思います。

 

キーワード:安全装置・対策/乗用トラクター/田植機
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