ヘルメットとシートベルト、着用していますか?
R5年4月 滝元 弘樹
4月です。だんだんと暖かくなり、新入生や新社会人の方たちが期待と不安を抱いて新たな生活を始める季節ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
通学や通勤に自転車を利用するという方も多いと思います。これまでは保護者の方は13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないとされていましたが、令和5年4月1日から道路交通法の一部改正によって、自転車を利用するすべての人がヘルメットをかぶることに努めなければならないとされます。警察庁の調べによると、ヘルメットを着用しないと、着用したときに比べて事故による死亡率が約3倍になるとのことです。この改正は努力義務であるため強制力はありませんが、少しでもヘルメットを着用する方が増え、より安全に自転車を利用できるようになることを期待しています。
自動車のシートベルトも、かつては着用義務がありませんでした。日本では、1969年に運転席へのシートベルト設置が義務化されました。その後着用義務が始まったのは1985年のことで、まだ高速道路と自動車専用道路に限られるものでした。一般道での着用義務は1992年、そして2008年には全ての座席でのシートベルト着用が、ようやく全ての道路で義務化されました。
さて、前置きが長くなりましたが、農業ではどうでしょうか。例えば、様々な農業機械を扱うときにはヘルメットをかぶった方が安全なのですが、まだ法的には義務でも努力義務でもありません。また、トラクタに乗車するときにはシートベルトを着用したほうが安全なのは明らかです(ただし、安全キャブ・フレームがない機械と安全フレームが付いていてもたたまれている状態の機械は除きます)。交通安全総合分析センターの集計結果(2015~2019年)によると、トラクタではシートベルトを着用しないと、着用したときに比べて交通事故による死亡者数はなんと約50倍と驚くほどの差があります。しかし、着用の義務はありません。ヘルメットもシートベルトも、農作業の多くの場面で作業者の安全を守るために有効ですが、法的には、しなければならない、という強制力はないのです。
農林水産省では、令和5年春の農作業安全確認運動において、「徹底しよう!農業機械の転落・転倒対策」と題し、被害軽減対策としてヘルメットとシートベルトの着用を呼び掛けています。これから当たり前になっていくことが期待される自転車でのヘルメット着用と、現在では当たり前となった乗用車でのシートベルト着用。農作業でも、ヘルメットとシートベルトの着用、始めてみませんか?
このコラムを読んで改めて安全について気を付けていただければ幸いです。