作業安全のための規範
R5年9月 小林 慶彦
皆さんは、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」をご存じですか。農林水産省が、作業安全を推進するために、関係者が日々留意すべき事項と実行すべき事項を整理したものです。基本的な考え方を整理した「共通規範」は以下のようになっています。
1. いのちを守る作業安全は全てに優先する。
2. 作業安全の確保は経営が継続発展するための要である。
3. 作業安全確保のために必要な対策を講じる。
4. 事故発生時に備える。
(「事業者向け」として記されたものを抜粋)
ここでは、作業安全は農業の前提であり、営農自体を続けるためにも重要であることが強調されています。また、3. 作業安全確保のために必要な対策として、たとえば
(1) 都道府県、農業者団体、農業機械メーカー等が実施する作業安全に関する研修や教育を受ける
(人的対応力の向上)
(2) 取扱説明書を確認して適切な使用方法を理解する(作業安全のためのルールや手順の順守)
(3) 機械や刃物等の日常点検・整備・保管を適切に行う(資機材、設備等の安全性の確保)
(4) 4S(整理・整頓・清潔・清掃)活動を行う(作業環境の整備)
(5) 軽微な負傷を含む事故事例などを把握し、共有する
(事故事例やヒヤリ・ハット事例などの情報の分析と活用)
が挙げられています。
また、事故によっては長期休業を余儀なくされる場合もあることから、労災保険への加入など事故発生時の備えを勧めていることが特徴です。
この規範を掲示するための標識や、自分が注意したい内容を記入する「私の作業安全規範」も農水省のHPで配布されています(図)。農業をより安全な産業としていくために、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」を一度確認してみてはいかがでしょうか。

図 「作業安全規範標識」(左) と 「私の作業安全規範」(右)