農作業安全コラム

事故が「起きなかった」理由を考えよう

R6年3月 松本 将大

 先日、仕事での出張先で恥ずかしながらヒヤリハット体験をしましたのでご紹介します。

 ヒヤリハット体験日は、なんとか用務を終え、ホテル併設の立体駐車場にレンタカーで向かいました。駐車場に到着し、係の方に駐車場のエレベータへ自動車を入れるよう促された際にアクセルとブレーキを踏み間違え、けたたましいエンジン音が駐車場に響き渡ってしまいました。幸いなことにギアがパーキングに入っており、駐車ブレーキもかけていたため急発進はしませんでしたが、あわや事故になっていたヒヤリハット事例となります。

 私なりにヒヤリハットが起きた原因について考えてみますと、大きく3つの要因があるのではないかと考えています。①用務後の運転で疲労しており、早く休みたいという焦り(人的要因)、②普段運転しない(慣れていない)レンタカーを運転していたこと(機械的要因)、③当日は雨天であり、立体駐車場入り口が暗く、アクセルペダル、ブレーキペダルが視認し辛かった(環境要因)。他にも細かく上げることはできますがこの3つが大きな要因ではないかと思います。

 上記の要因だけを考えると、私の不注意が主たる原因のように見え、ネガティブなものばかりに見えますが、次になぜ事故にならなかったのかを考えてみます。
 ①ギアがパーキングに入っており、駐車ブレーキをかけていたこと、②私が自動車を発進させる際には必ずブレーキを踏んでからパーキングブレーキを解除し、ギアを変更するよう心掛けていたことが事故には至らなかった要因だと思います。特に②については農機を含む様々な乗用型機械に共通する安全な運転方法であり、周囲にもお勧めできるポジティブな習慣だと思います。

 今回、著者の失敗談をご紹介いたしましたが、皆様の農作業におかれましても、いつもと違うトラクターに乗車する、久しぶりに使用する機械である等の状況があり、ヒヤリとする状況を体験することがあるかもしれません。その際には是非なぜヒヤリとする状況になったのかのみではなく、「自分が普段こうしているから事故にはならなかった」ということを見つけてみて周囲の人にもお勧めしていただけると幸いです。

 

キーワード:事故/安全装置・対策
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