ロボット・自動化農機検査の対象機種が追加されました
R6年5月 深井 智子
今年は桜の開花が遅く、関東では久しぶりに入園・入学式に桜が見頃を迎えることができました。新たなスタートの季節ですね。
これまで、農業機械研究部門が実施しているロボット・自動化農機検査の「人・障害物検出機能確認試験」、「運転状態表示確認試験」、「遠隔操作装置の安全機能確認試験」についてご紹介させていただきました。昨年度、同検査に新たな動きがありましたので、ご紹介いたします。令和5年9月より、同検査の対象に「乾燥機(穀物用循環型)の遠隔監視装置」が追加されました。ロボット農機としては農用トラクター(乗用型)、田植機に次いで3つ目の対象機種となります。
遠隔監視により運転を行う乾燥機に必要な安全性を検査するのですが、遠隔監視において重要となるのは、使用者が乾燥機本体から離れた場所においても乾燥機の運転状態を常に把握できることです。そこで、検査基準の中に「遠隔監視装置による運転状態表示確認試験」を設けました。この試験の具体的な基準と実施方法は以下の通りです。
① 遠隔監視装置により、適切に状態表示がなされ、使用者が乾燥機の状態を容易に認識できること。
② 遠隔監視装置から操作が行われた場合は、その操作内容と操作を行った遠隔監視装置が認識できること。
③ 遠隔監視装置により、本機の水分、温度、風量、設定など各種データ及び故障履歴等の運転履歴情報が確認できること。
①では、遠隔監視装置として使用されているモニターやタブレット等の表示内容が、常に運転状態が適切に表示されているか、誰にでもわかりやすい表示となっているか等を確認します。
②では、モニター、タブレット等が複数台ある際にどの遠隔監視装置で操作が行われたか、適切な操作であるかを他の使用者が認識できるかを確認します。
③では、乾燥している穀物の状態認識と、本機が適切な運転を行っているかを使用者が認識できることを確認します。
他にも試験項目がありますが、今回は対象機種が追加されたことと、遠隔監視装置を用いる農業機械の検査基準の特徴についてご紹介させていただきました。