労働者に対する安全対策の一例紹介①
R6年8月 山﨑 裕文
「雇入れ時教育」という言葉をご存じでしょうか。「労働者の就業に当たっての措置」として、労働安全衛生法の第五十九条では、「事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。」と規定しています。必要な教育内容は労働安全衛生規則の第三十五条で、
一 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
二 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
三 作業手順に関すること。
四 作業開始時の点検に関すること。
五 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
六 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
七 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
八 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
と規定しています。
当該規制の対象は「労働者を雇い入れた事業者」とされていて、農業法人でない方々は、自分達には関係ないと思われるかもしれませんが、その雇用期間や雇用形態に定めはありません。つまり、農繁期にお手伝いを頼む期間雇用者であっても、教育が必要となります(詳しくはこちら)。
フォークリフトなどを対象に行われている運転技能講習では、外部機関によって講習が行われますが、雇入れ時教育の場合は事業者に教育を行う義務が課されています。厚生労働省のHPでは、外国人向けのものも含む様々な教育資材が提供されていますので、積極的にご活用ください(動画教材、リーフレット
)。
今回は労働者への安全対策として、「安全衛生教育」を紹介いたしました。次回は、現場の安全対策に直結する「安全基準」についてご紹介したいと思います。