トラクタの転倒、転落事故の予防技術研究に取り組んでいます
H20年3月 菊池 豊
高齢者の自動車事故原因の上位は、自宅近くにある交差点での一時停止不履行だそうです。乗用型トラクタで一番多い転倒、転落事故も、慣れているはずの農道、圃場などで発生しています。これには、慣れから来る気のゆるみも関係しているのではないかと思います。実際に農家の皆様からも、自動車とのすれ違い時に路肩に寄りすぎて脱輪したとか、よそ見をして転落したといった体験を時折聞きます。
転倒、転落事故に対する安全技術として、安全フレーム、キャブが普及しつつありますが、事故時に運転者を保護する技術であり、より積極的に事故を予防するシステムが必要であると考え、3年前から路肩への寄りすぎなどを運転者へ警告するシステムの基礎研究を行っています(図1)。
ちなみに、自動車分野では舗装道路の白線を検出して車線逸脱を警告する装置があるのですが、トラクタは白線のない農道を走行することが多いので、形状などから道路脇にある溝や路肩を検出できないかと、センサ、コンピュータと格闘しています。図2にセンサで溝を検知したときの表示例を紹介します。
3月に入り、耕うん作業を始める農家の皆様も多いと思いますが、崩れそうな路肩を点検する、分かりにくい路肩や交差点の角に目印の棒を立てるといった、「予防対策」も検討されてはいかがでしょうか。