「指差呼称」の勧め
H21年10月 中村 利男
既に水稲の収穫が終了し、一段落された地域も多いと思いますが、今後も農作業は続きますので、本コラムでは、「指差呼称」(しさこしょう又はゆびさしこしょう)の再評価を提案させていただきたいと考えます。
「指差呼称」とは、危険予知活動の一環として、安全確認等の目的で指差を行い、その名称と状態を声に出して確認することでありますが、この「指差呼称」をトラクタやコンバイン、刈払機等での作業時に日常的に取り入れられてはどうかとの考えです。
農作業開始時又は中断後の再開時毎に、まず、深呼吸して気持ちを落ち着かせ、「指差呼称」を行うことができれば、慌てからくるミスや慣れに伴ううっかりミスを防ぎ、より安全な作業に移ることができるのではないかと考えます。
具体的なイメージは例えば、乗用型のトラクタの場合、運転席に座った時に、①深呼吸よし!、②安全フレーム、シートベルトよし!、③ブレーキ、ギアよし!、④アタッチメントよし!と声を出して「指差呼称」し、エンジンを始動させ、最後に①周りよし!、②作業開始よし!と確認してほ場作業に移るというものです。
コンバインの場合では、①深呼吸よし!、②ブレーキ、ギアよし!、と声を出して「指差呼称」し、刈払機では、①深呼吸よし!、②刈刃取付けよし!、③安全カバー、防護メガネよし!、と声を出して「指差呼称」後、エンジンを始動させる要領です。また、作業中に異常警報が鳴った時は、必ずエンジンを停止させて処置し、「指差呼称」を行って再始動していただきたいと考えます。
農作業される方々は、老若男女を問わず、一家の柱であり、農業の担い手です。万一事故が起これば、当人のみならず周りの方々にも大きな苦痛と損失をもたらすものです。
怪我や事故を完全に無くすことは困難なこととは思いますが、日常的に「指差呼称」を取り入れることにより、痛ましい事故を少しでも未然に防止したり、減らすことができるのではないかと考えます。