農作業安全コラム

農林水産省が平成19年農作業死亡事故調査を公表

H21年6月 杉浦 泰郎

 平成19年に発生した農作業による死亡事故件数は397件で残念ながら、なかなか減少しない状況にあります。事故区分別では農業機械作業によるものが259件と全死亡事故件数の65%を、機種別にみると乗用型トラクターによる死亡事故は、115件と農業機械作業による事故の44%を占めています。事故発生状況をみると乗用型トラクターでは、ほ場内や道路からの転落・転倒が75件と最も多く、次いで機械からの転落が15件となっています。年齢階層別では65歳以上の高齢者の方の事故は、286件と全死亡事故件数の72%を占めています。

 年齢が高くなると、視力、平衡感覚、とっさの判断力等の心身機能は低下するため、事故を起こしやすくなり、ケガの程度も大きくなる傾向にあります。高齢者の方は、自らの体力等が若い頃と違うことを十分自覚した上で、余裕を持った作業を心がけていただきたいと思います。

 6月は、時期として、田植え作業が終わって一息といった地域もあるかと思いますが、これから田植え、又は麦の収穫、耕うん・代かき・田植え作業を行う、とても忙しい農家の方々もおられると思います。特に麦収穫と田植えが続く場合には、天気をみながら、時間に追われて慌ただしくトラクタ-等を運転操作することになりますが、使い慣れた機械、通い慣れたほ場や道路と、安心過信することなく、一呼吸の余裕を持って本年も無事、農作業を続けられますようお願いします。

 

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