農作業安全コラム

低振動型刈払機について

H21年9月 志藤 博克

 先月のコラムで、振動工具の使用に関して、厚生労働省の「振動障害予防対策指針」が、これまでの一律1日2時間以下とする扱いから、決められた条件を満たせば、使用する機械の振動値に応じて作業可能時間が決められるという枠組みに変更されたことを紹介しました。

 生研センター(現:革新工学センター)では、こうした時代の変革に先んじて、ハンドル振動が1日当たり8時間使用しても振動障害が生じないとされるEUの基準値(振動暴露対策値2.5m/s2)を下回る刈払機をメーカーと共同で開発し、今年から販売が開始されることとなりました。

 近年、低振動をセールスポイントにした刈払機が各社から出されていますが、本開発機の大きな特徴は、ハンドル取付部とグリップ内部とに画期的な防振機構を設け、ハンドルを補強することにより、ハンドル振動を低減させている点です。

 刈払機の主桿上には振動の振れ幅が大きい所と小さい所が生じますが、本開発機では、ハンドル取り付け部にウェイトを付加することにより、この部分が振れ幅の小さい場所となるよう振動を誘導する仕組になっています。また、グリップには、ウェイトと棒バネによる機構が内蔵されており、ここでの振動を打ち消すように機能しています。さらに詳細をお知りになりたい方は、パンフレットをご用意しておりますので、下記までお問い合わせ下さい。

 刈払機メーカー各社が低振動化の技術を競い合い、さらに作業者に優しく安全な機械へとレベルが高まってゆくことは、日常的に刈払機を使う方々にとって歓迎すべき傾向といえるでしょうし、業界発展の健全なあるべき姿といえるのではないかと考えます。本開発機がその推進役になることができれば、この上ない喜びです。

お問い合わせ先
【販売について】
  新農業機械実用化促進株式会社 TEL:03-6206-0681
【技術について】
  生研センター(現:革新工学センター)
   基礎技術研究部安全人間工学研究単位 TEL:048-654-7050
   企画部企画第2課 TEL:048-654-7027

 

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