農作業安全コラム

春作業の本格化に向けて

H22年4月 中村 利男

 3月末の寒気により少し桜前線の北上の速度が抑えられた感がありますが、各地で桜のたよりが聞かれ、いよいよ、春作業が本格化することとなりました。

 私たちも新年度を迎え、農作業安全に役立つ新たな研究・調査、情報収集・提供を行って参りたいと考えております。特に、本Webサイト「農作業安全情報センター」につきましては、新たな研究成果、データ、イラスト等を加えて、皆様に一層活用していただけるよう改良・充実に努めて参りますので、引き続きよろしくお願いします。

 今回は、春作業に向けて特にご注意いただきたいことを書かせていただきます。

  1. 地域内の安全マップの点検をお願いします
    • 路肩等の危険箇所の標識の確認・設置
    • 農道、水路等の点検
    • ほ場進入路の安全点検(傾斜確認、表面の状態、石の露出の有無等)
    • 樹園地における誘引ワイヤーの確認、枝の処理
  2. 機械、資材等の点検をお願いします
    • 納屋、格納庫の整理・整頓
    • 機械類の自己点検・整備(場合によっては専門の業者へ点検を依頼)
    • 部品、オイルの交換、バッテリーの点検
    • 取扱説明書の確認・再読(特に緊急時のエンジン停止方法の確認)
    • 肥料、農薬の在庫・保存状態の確認
  3. 基本事項の確認をお願いします
    • 安全キャブ・フレームの装備、シートベルトの装着
    • 左右ブレーキペダルの再連結の確認
    • 低速車マーク、反射テープの確認
    • 刈払機の安全カバーの装着確認、顔面保護、足元の防護

 以上のことは、皆様にとっては周知のことであり、既に実施済みの方もおられるとは思いますが、念には念を入れて今年の春作業を安全で円滑に行っていただければ幸いです。

 繰返しで恐縮ですが、死傷事故はご自身、ご家族に大きな悲しみと不幸をもたらすだけでなく、皆様の生活・経営に直接影響し、ひいては我が国の貴重な農業の担い手の喪失にもつながるものです。このことを十分ご認識いただき、「慣れ」、「焦り」、「疲労」による安全意識の緩みにも注意し、基本を忘れることなく、日々の農作業に励んでいただきたいと考えます。

 特に、高齢農業者の方は自分の体力を正しく把握し、無理のない作業分担や作業方法の再検討をお願いします。

 

キーワード:安全装置・対策/研究/乗用トラクター/刈払機/田植機/その他の機械/点検・整備・清掃/稲・麦・豆/野菜/果樹/畜産
サブキーワード:春季/農業経営体/高齢者