農作業安全コラム

トラクターの転倒・転倒事故を減らそう

H22年5月 冨田 宗樹

 本格的な農作業シーズンを迎え、皆様の周囲でも春耕、代掻きなどが盛んな毎日と思います。これらの作業に大活躍し、このシーズンの農業機械の主役ともいえるのが、乗用型トラクターです。

 そんな中、先日農林水産省より、平成20年の農作業死亡事故について調査結果の発表がありました。詳しい内容については本HPにも掲載しておりますので是非ご覧下さい。その中で目を引いたのが、乗用型トラクターの転落・転倒による死亡事故が、平成19年に比較して19件も増加(75件→94件)したことです。この事故は、農業機械死亡事故の実に3件に1件以上を占めています。

 従って、農業機械による死亡事故を減らすには、まず乗用型トラクターの転落・転倒による死亡事故を減らすことが必要であると考えます。その方法は既に明らかになっており、このHPでも再三お伝えしていることですが、安全キャブ・フレームを付け、シートベルトを使うことです。

 しかし、残念ながら、これらの徹底に向けての道のりはまだ長いのが現状です。

 このため、今可能なこととして、農業に関わる皆様のご助力を頂きたいと思います。具体的には、少し高価でも検査に合格したキャブ・フレームの付いたトラクターを買う、納屋から出したらフレームを伸ばす、道路ではシートベルトを締めるといったことを、ご自身はもちろんのこと、周囲の方々にも働きかけて頂けないでしょうか。

 安全キャブ・フレームの付いていない、あるいは正しく使用されていないトラクターを身の回りから1台ずつ減らしていく、そのことが痛ましい死亡事故を減らすための王道であり、かつ最短距離と改めて思います。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/乗用トラクター/耕うん・代かき
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