農作業安全コラム

「農機安全eラーニング」完成版を公開しました

H22年7月 積 栄

 農作業による死亡事故の原因別では、農業機械作業に伴うものが7割を占めており、機械の安全な使用方法について正しい知識を身につけることは非常に重要となっています。農林水産省の死亡事故調査結果では、高齢者の死亡事故が多いことが示されていますが、その一方で、例えばこの3月の農作業事故防止中央推進会議(主催:(社)日本農業機械化協会)における久留米大学の報告によれば、負傷も含めた事故は年齢層によらず発生しており、トラクターでは逆に20~30歳代が最も多かったという調査結果もあります。このことからも、安全作業の知識を身につける機会を、年齢層に関わらず幅広く提供することが、いかに大切であるかがわかります。

 そこで生研センター(現:革新工学センター)では、インターネットを活用して、パソコンでいつでもだれでも効果的な安全学習が可能となるeラーニングシステム「農機安全eラーニング」の開発を行ってきました。昨年度から、試作した一部を本ウェブサイトにて試行版としてご利用いただいてきましたが、このたび、新たなコンテンツを追加し、システム全体の改良を行った完成版を公開しました。

 本システムでは、CGや動画、イラスト等を活用し、クイズに答えながら農業機械の安全な使用方法について効果的に学習できるようになっています。面倒なユーザ登録などは不要で、使い方もマウス操作のみで簡単です。今回の完成版では、乗用トラクター3コンテンツ(移動、耕うん作業、点検整備)、自脱コンバイン2コンテンツ(移動、作業・点検整備)、歩行用トラクター(全般)と刈払機(全般)各1コンテンツの計7コンテンツをご利用いただけます。1コンテンツの所要時間は15分程度です。

 ぜひ、農作業の合間にご利用いただき、安全作業を実践していただければと思います。

農機安全eラーニング

 

 なお、本システムは個人利用だけでなく、安全講習会等の教材としてもご活用いただけます。基本的にはインターネットに接続した状態でのご利用が前提ですが、講習会等でインターネットが使えない会場での利用をご希望の場合は、お申出に応じて無償でCD版も提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください(詳しくはこちら)。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/研究/乗用トラクター/歩行用トラクター/刈払機/農用運搬車/耕うん・代かき/中耕・防除/草刈・伐採/収穫・調製/運搬・移動/点検・整備・清掃
サブキーワード:農業経営体/他業種/高齢者