農作業安全コラム

第7回日韓研究交流セミナの講演から

H24年7月 高橋 弘行

 5月23日に、韓国農村振興庁農業工学部に於いて、日韓研究交流セミナが開催されました。これは、双方の農作業や農業機械の安全に関わる研究協定に基づくもので、今回が第7回目の開催となります。今年度は、農作業事故調査や分析、安全教育システムの開発などの安全課題および燃料消費量や排出ガス計測に係る環境課題についての両国における研究状況が紹介されました。その中で、農業機械の安全標識や操作表示の現状や評価・改善方法に関する取り組みについて、双方から紹介がありました。機械を走らせながら作業もしなくてはならないという性格を持つ農業機械は、あらゆる方向に注意を向けなくてはならず、また複数のレバーやボタンなどを操作しなくてはならない場面が少なくありません。そのため、安全標識や操作表示は見やすさとともに表示の内容も容易に理解できるものが求められます。しかし、現状の調査では、文字が多くて小さいことや貼る位置が不適切なものなどがあり、日本のみでなく、韓国でも同様の問題のあることが報告されていました。

 農業機械には、多くのレバー、ボタン、スイッチがあり、可動部や高温部など注意しなくてはならない場所も多い反面、標識や表示を貼るスペースに余裕がない傾向にあります。また、今後、言語の異なる複数の国で機械を使うことを考えると日本語のみの標識も適切ではなくなります。このように、制約の多い条件の中で、見やすさや理解のしやすさを向上させる課題の解決は容易ではありませんが、安全に農作業を行い、事故を減らすためには大変重要だと考えます。状況がよく似ている韓国における研究とも連携しながら、進めていきたいと思います。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/研究
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