受容できるリスクなのか
H26年1月 篠原 隆
新年あけましておめでとうございます。
初詣で、今年1年の、繁栄と安全をお祈りされた方も多いと思います。安全はみんなの願いですが、では、みんながいつも安全第一で行動しているかといえば違います。
食品安全の話ですが、一昨年7月、牛のレバーの生食が禁止となった際、禁止直前駆け込みで生レバーを食べているお客さんの映像がテレビで何度も流されました。牛のレバーの生食による食中毒のリスクが、7月から高くなるわけではありません。禁止以前から同じリスクがあるのですが、あえてレバーの生食をしているわけです。リスクの観点からみれば、牛の生レバーを食べていた人々は、自分で意識しているか否かは別として、牛の生レバーに関する健康リスクを受容しているわけです。リスクはゼロにはなりませんから、我々はあるレベルでリスクを受容しているわけですが、自分で選択ができる、リスクをとることの利益は自分が得る(レバーの場合はおいしいものが食べられるという利益など)ような場合には、リスクは受容しやすくなると言われています。でも、生のレバーのリスクは食品としては相当高いと思うのですが・・・。
同じことが、農作業安全でも起こっているかもしれません。安全手順の一部を省略して手間をはぶく、少し時間を節約するなどなど、期待される利益と比較して、リスクが大きすぎないか、選択が自分でできるがゆえに大きなリスクを冒しがちになっているのかもしれないと見直してみてください。