取扱説明書に書かれていないこと
H26年4月 堀尾 光広
以前にこのコラムでは、取扱説明書の重要性や読みやすいものをつくる難しさにふれましたが、筆者が安全鑑定を担当するコンバインでは特に強くそれを感じます。
コンバインは、操作レバーやスイッチ類が多く、点検・調整する箇所が多い機種です。誤った操作によって起こる事故を未然に防ぐには、コンバインの操作に慣れていない方にもわかりやすく伝えることが重要となります。そのため操作方法やメンテナンスの仕方に多くのページが割かれています。
農作業の安全を守るため、春作業開始に向けて大切なことの一つが機械の点検・調整ですが、取扱説明書をよく読んで正しく行えば機械の不調による事故の多くは防げるはずです。メンテナンスのページには、点検の項目、点検・交換の時期に加えて、点検・調整の方法が図解入りで詳しく書かれていますが、いざ交換をしようとしたとき、交換の方法が書かれていない場合があります。また、交換方法は書かれているが「交換は購入先で行ってください」という注意書きがあり、おやと思われた方は多いと思います。これは、交換作業そのものに大きな危険が潜んでいるということです。
安全鑑定でコンバインの取扱説明書をチェックするとき、特別な技能が必要な作業、特殊な工具が必要な作業はなるべくユーザーが行わないように、誤った作業を防ぐため取扱説明書に書かないようにお願いをしています。これぐらい自分でできるよ、と思われる方もいるかと思いますが、なぜここに書かれていないのか、なぜこんな注意書きがあるのかを考えて、安易に作業をしないようにお願いします。