農作業安全コラム

機械は小さくても安全装備は重機と同等である

H27年2月 皆川 啓子

 最近、あるテレビ番組で麺は小麦から、スープは素材を採取するところからラーメンを作るという企画が始まりました。この番組を見るようになったきっかけは、別の企画で村を開拓するというものがあり、米作りや野菜作りなどに取り組んでいる姿がとても興味深かったためです。テレビっこの私は録画をしてまで見逃さないようにしています。

 今回の企画は、休耕地を農地に復帰させるところから始まりました。トラクタにプラウを装着して耕起作業を行うシーンでは、「トラクタを使用して」ではなく「重機を扱って」とナレーションが入りました。使用していたトラクタはおそらく80~100馬力クラスの外国製であったと記憶しています。4柱フレームがあり、運転手(操縦者)はヘルメットを着用していました。村を開拓するという企画で、トラクタにロータリを装着して畑の更新作業を行っていたときに使用していたトラクタは、20~30馬力程度と比較的小型の国内ではよく見かけるものでした。そして、そのトラクタにはフレームは装着されておらず、ヘルメットの着用もありませんでした。ナレーションも「トラクタで畑を耕して」という程度だったと思います。

 同じトラクタではあるのにこの安全装備の差は何なのでしょうか?
 このときに使用していたトラクタは大きく、「重機」と表現されていましたが、私自身、慣れもあり大きな馬力のトラクタであっても重機という意識が薄れており、重機という単語に違和感を受けたのですが、新人研修でトラクタなどに乗車して操作方法等を指導していただいた直後の感想として、自動車以上に農業機械は「走る凶器である」と感じたことをこの放送を見て思い出しました。また、重機という認識からヘルメットを装着したのかなと思い、放送を見ていました。

 小型のトラクタの場合でも、重機と表現された大型のトラクタの場合でも安全面(安全キャブ・フレームやヘルメットの装着等)においては同等に扱わなければなりません。農閑期である今、来シーズンに向け、より安全な農作業ができるように改めて自身でお持ちの機械は重機と同等の安全装備が必要との意識で装備の見直しなどをしてみてはいかがでしょうか。また、機械に安全装置が装備されているかどうか、装備されている装置の動作確認などの機械側の見直しのみならず、自身に装着する装備(ヘルメット、保護めがね、安全靴など)なども含め、それぞれ更新・新規導入などの検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

キーワード:安全装置・対策/乗用トラクター/耕うん・代かき/点検・整備・清掃
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