農作業安全コラム

洗濯機のふたロック

H28年2月 山﨑 裕文

 先日乾燥機能付き洗濯機で衣服の乾燥をしていたところ、予定時刻よりも乾燥時間が押してしまい外出する時刻になりました。共用の洗濯機であったため、そのまま洗濯物を入れておくわけにもいかず、停止ボタンを押しました。ところが、待てど暮らせどフタのロックが外れないため洗濯物を取り出すことができず、取扱説明書を熟読すると「内部が高温になっているため、冷却運転を30分程度実施しないとフタが開かないようになっている」との記述を発見し、大いに落胆しました。

 洗濯機では、洗濯機内部での指の切断や火傷の事故事例を踏まえて2008年以降から「ふたロック」が義務化されているようです。このように、危険回避のために使用者の行動を強制的に制限するような安全対策には使用者の反発が強いことが多く、「洗濯機 ふたロック」でインターネット検索をすると「ふたロックのないものが欲しい」、「ふたロックを無効化する方法は?」との意見が散見できました。

 しかし、今回の事例も含めて安全対策の多くは事故事例に基づいて規定・実施されています。安全対策により実施できなくなった作業が、怪我をする可能性がある危険な作業であったことを認識することが重要ではないでしょうか。また、自分は怪我をしなかったかもしれませんが、自分の周りにいる子供や高齢者のことまで十分に考えているでしょうか?これらのことは農作業にも通じることで、「自分は怪我をしない、という思い込みや慢心」、「他者が怪我をする可能性への配慮不足」を改善することで、自身や家族が事故に合う確率は大きく減少すると思います。

 とはいえ、かく言う私もついつい落胆してしまった一人です、農作業安全に関わる人間として気持ちを改めていく所存です。

 

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