農作業安全コラム

農機も公道での事故に注意

R1年5月 原田一郎

 筆者の勤務地であるさいたま市では、寒気の影響で例年になく長く続いた桜もすっかり葉桜となり、春本番となっています。農作業も本格化している昨今と思いますが、今回は農業機械の交通事故について紹介したいと思います。

 農林水産省ではH29年から毎年、農耕作業用自動車(農耕作業用の小型・大型特殊自動車)の交通事故死亡事故発生状況と主な事例等について公表しており、今年も3月に新しい資料が公表されました。資料は警察庁交通局交通企画課の分析に基づくもの外部リンク ですが、これによると、H26年~H30年の間では合計156件、毎年30件前後の交通死亡事故が発生しています。その内訳としては、単独事故が77%、追突事故が17%、車両相互(出会い頭、その他)が5%、列車が1%となっています。月別の死亡事故件数では、4月、5月が共に最多の19件と、今はまさに注意が必要な季節となっています。事故事例としては、乗用トラクターの車道から逸脱しての用水路への転落、車道脇法面への乗り上げによる横転、コンバインの夜間走行中の追突事故が挙げられています。 こうした事故を防ぐため、転倒・転落の対策としては左右ブレーキを連結(片ブレーキにならないため)することと安全キャブや安全フレームの付いたトラクターを利用すること、シートベルトを着用すること、追突事故を防ぐためには車体の後部に低速車マークを取り付けることが上げられます(追突事故の多くは夜間に発生しています)。可倒式の安全フレームの場合には、フレームを立てて使用することも大切です。また、低速車マークや反射板が汚れていると、後方からの確認ができず効果が発揮できないことが考えられますので注意が必要です。

 私事ですが、先日、原付バイクで道路を走行中、雨が降る中、歩道のない狭くて暗い道を走行していたところ、歩行者に気づかずぶつかりそうになりました。原因としては、通常人が歩いていないことから、予測を怠ったこと、歩行者の服装が光を反射しにくい色であったことなどがあげられます。さらに、ヘルメットのシールドに傷が多数あり、視界が悪くなっていたことも大きな理由かと考えています。さっそく新しいシールドを注文しました。

 バイクと農機の違いはありますが、当然ながら走行時には視界の確保も重要です。農業機械でも、トラクターが右折をする際に、追い越しをしようとした後方からの車両と衝突した、という事例が報告されています。低速車マークだけでなく、窓ガラスやサイドミラーの汚れにも気をつけることも安全な走行につながりますので、皆様にもご留意頂ければと思います。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/乗用トラクター/ コンバイン(自脱型/普通型)/運搬・移動
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