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低振動型刈払機
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低振動型刈払機 |
【背景・経緯】
刈払機は普及台数が多く、山林の下草刈りから庭先の草刈りまで幅広く利用されており、管理作業にはかかせない農業機械です。その一方で、ハンドルの振動が大きいため、長時間の使用によって、手のしびれによる疲労感や不快感を伴い、そのまま長期に渡って使用すると場合によっては血行が悪くなり、寒い時期に指先が白くなるいわゆる白指症(白ろう病、レイノー障害とも言います。)などの健康障害を引き起こすことがあるといわれています。
そこで、刈払機メーカーの(株)丸山製作所と共同で、日本や欧州での振動基準値を満たす、ハンドル振動の小さい刈払機を開発しました。
【開発機の概要】
刈払機の振動は規則性があり、振動の大きい所と小さい所があります。開発した低振動型刈払機は、主桿にウエイトを付加することと、グリップ内部の棒状バネと2個のウエイトによって、振動の小さい部分をハンドル取付部とグリップ部へ移動させています。加えて、ハンドルを補強(厚肉化、補強キャップを付加)しています(図1)。
開発した刈払機は、排気量26mL、U字ハンドルの肩掛式で、防振機構などによって0.7kg程度質量が増加していますが、幅広の両肩掛けバンドを採用することで肩への負担を軽減しています(図2)。
ハンドルの振動を測定した結果、防振機構を組み込む前に比べて、3〜4割程度振動が低減し、日本や欧州での振動基準(振動暴露対策値:1日に8時間使用した場合に換算した振動の値が2.5m/s2を超えると、使用時間の短縮や防振手袋の使用などの対策を施さなくてはならない。)を下回ることができました。また、市販されている刈払機との比較でも最小クラスの振動です(図3)。農家の方33名に長期間使用して頂いた結果、8割の方から指先や手のひらに感じる振動が小さい、6割の方からしびれが残らないという回答を頂きました。
なお、開発した刈払機は1日に8時間使用しても問題ない振動の大きさですが、1日の使用時間は2時間以内に留め、小まめな休憩を心掛けましょう。
この低振動型刈払機は、共同開発先の(株)丸山製作所から2009年より販売されました。
(基礎技術研究部 岡田俊輔)

図1 防振機構と振動の移動のイメージ

図2 低振動型刈払機の外観と諸元

図3 開発機と市販機(43台調査)の振動の大きさ
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