草丈から推定した単播アルファルファの粗蛋白質収量および産乳可能量


[要約]
ロールベール・ラップサイレージ体系で収穫する単播アルファルファの単位面積当たり粗蛋白質(CP)収量および産乳可能量は、草丈から推定できる。
北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
[連絡先]0155-62-9286
[部会名]総合研究
[専門]栽培
[対象]牧草類
[分類]研究
[背景・ねらい]
アルファルファは蛋白質やミネラルに富む高品質粗飼料として、相当量に輸入されている。しかし、わが国ではイネ科牧草との混播栽培が中心であり、高泌乳牛に適応した良質粗飼料として、単播のアルファルファ栽培・利用技術の確立が求められている。北海道十勝地域の土壌凍結地帯で栽培された単播アルファルファ(品種:ヒサワカバ)を対象に、アルファルファを有効に利用する視点から、ロールベール・ラップサイレージ体系で収穫した場合の刈取りステージと栄養収量、単位面積当たりの産乳効果を推定する。
[成果の内容・特徴]
  1. アルファルファのラップサイレージの粗蛋白質(CP)含量は、草丈が伸長するにしたがって低下する(図1)。粗蛋白質は番草によるバラツキが少なく、収穫時期の判断指標として草丈を使用できる。なお、収穫・調製時の脱葉および雑草の混入等のため、ラップサイレージはアルファルファのみの原料草CP含量より3%前後低下する。
  2. サイレージ中の全窒素に対するアンモニア態窒素の比を、良質発酵とされる5%以下に抑えるためには、含水率を約60%以下に予乾する必要がある(図2)。
  3. テッダで反転する慣行の予乾収穫体系による全刈り収量からCP収量を算出するとともに、ラップサイレージの中性デタージェント繊維(NDF)を基に、既往のNDF限界容量およびサイレージ水分による採食減少量を加味して乳牛の乾物摂取量を推定し、さらに、摂取したアルファルファCPから期待される乳量を推定できる(表1)。
  4. アルファルファのCP収量は生育ステージが進むほど増加するが、採食量を考慮した単位面積当たりの産乳可能量は草丈80cm前後で最大となる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 土壌凍結地帯における飼養頭数、作付け面積等の経営条件あるいは飼料給与設計を踏まえたアルファルファの刈取り管理計画を策定するための基礎資料となる。
  2. 土壌、利用年次等が大きく異なる場合は別途データを収集する。
[その他]
 研究課題名:アルファルファを導入した畑地型酪農営農システムの確立
 予算区分:実用化促進(地域総合) 
  研究期間:平成10〜14年度
  研究担当者:糸川信弘、池田哲也、新良力也
 発表論文等:なし

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