幌加内町南部地域における農地利用形態の変化とその要因
- [要約]
- 幌加内町南部地域での1970〜1992年の農地利用形態の変化は、水田減少とソバ畑・牧草地の増加であった。水田の継続利用には土壌型と通作距離や農業基盤整備等が、耕作放棄地の発生抑制には幌加内町としてのソバ栽培の振興が要因になっている。
北海道開発局開発土木研究所・農業開発部・土壌保全研究室
[連絡先]011-841-1111
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]農村整備
[対象]
[分類]行政
- [背景・ねらい]
- 耕地面積の減少や耕作放棄地の増加は、食糧生産力の低下のみでなく景観上あるいは国土や環境の保全上でも問題となっている。山間農業地域である幌加内町南部地域を対象に、1970年と1992年での農地利用形態の変化を1995年農業センサス等を利用して調査し、自然立地条件や社会的要因との関わりを検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 減反政策により、農地の大部分を占めていた水田が大きく減少するとともに、一般畑も減少し、ソバ畑と牧草地が増加している(図1)。耕作放棄地はほとんど生じていない。
- 水田が残っている地域は大規模な農業基盤整備(図2)がなされていて、その土壌は低地土であり、反対に、台地土に分布した水田はほとんどがソバ畑や牧草地に転換されている(図3)。低地土の水田で転換されたものは、農家数の減少が特に著しい集落に属すか、または通作距離が長い。
- ソバは所要労働時間が短く、稲作との労働競合が生じないこと等の理由により、転作作物に選定されたと考えられる。現在は、特産品として町ぐるみでソバの栽培振興につとめている。
- 水田として継続利用される地域の存在には、自然立地条件(土壌型)に関する要因と社会的要因(農業基盤整備や通作距離)の両方が深く関係する(図4)。
- 農業基盤整備による水田としての継続利用と、転換畑や離農跡地でのソバの栽培規模拡大が、耕作放棄地の発生を抑制し、農地の有効利用に結びついていると推定される(図4)。
- [成果の活用面・留意点]
- 本研究成果は、水田の転換されやすい条件や耕作放棄を抑制する条件等を明らかにしており、農地の継続利用を図る上での研究事例として活用される。
- [その他]
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研究課題名:農用地の利用保全に関する研究
予算区分:経常研究費
研究期間:平成11年度(平成6〜10年)
研究担当者:大矢朋子・石渡輝夫
発表論文等:北海道幌加内町南部地域での農地利用形態の変化とその要因、農業土木学会
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