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固化剤を用いた泥炭性軟弱地盤上での管路施工
- [要約]
- 泥炭性軟弱地盤で管路施工をする場合、超高有機質土用固化材で地盤の改良を行えば、管敷設の作業に必要な作業性を確保すると同時に、基盤の圧密沈下を減少させ、地下水位の上昇時に作用する浮力に抗することができる。
北海道開発局開発土木研究所・農業開発部・土壌保全研究室
[連絡先]011-841-1111
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]基幹施設
[対象]農業工学
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 水田用水の時間的需要に対する適合性や、地表面の土地利用・景観の観点から、従来の開水路から埋設管水路への転換要望が高い。泥炭性軟弱地盤地帯では、溶接鋼管と一定間隔で設けた支持杭で沈下を抑える方式であったが、この方式では工期が長くなることや、工費が高いことがネックであった。このため、支持杭工法に代わる新しい管路の埋設工法の開発が望まれている。
- [成果の内容・特徴]
- 管周囲の土をセメント系固化材(超高有機質土用)で改良し、管基床部での荷重分散を図り、管路の沈下量を軽減する。また、地下水位の急上昇による管路の浮上を固化した管上部土塊の重量で抑止する(図1 図2 図3)。
- 提案する工法は、支持杭を設けないことから沈下を許容するが、周囲を固化することにより、単管の接合部の水密性を支配する不同沈下量を減ずる。
- 基礎材および周囲土の反力係数(e')を増加し、管のたわみ・応力を軽減する(図4)。
- 工事に伴う発生残土の処分量を軽減もしくは省略するとともに、良質土の置換を不要とする。
- そのままでは歩行することも困難な泥炭性軟弱地盤での、管路据付け・埋戻し等の施工性を改良する。
- コスト縮減等の効果は、工費として約15%減、工期として約20%減ずることができる。
- [成果の活用面・留意点]
- 管径や埋設断面が小さいものでは、その他工法の適用性の可否検討や経済性比較が望まれる。
- 先行圧密を強く受けた地盤や含水比が低い地盤では、相対的に支持力が高く、掘削断面における固化処理層の規模縮小の検討や、浮力に対しての土木シートによる抑止が経済的となることもある。
- [その他]
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研究課題名:水利施設の維持管理の高度化に関する研究
予算区分:経常
研究期間:平成11年度(平成11〜15年)
研究担当者:秀島好昭,宮川真,小野寺康浩,大深正徳,田鹿秀則
発表論文等:固化材を用いた泥炭性軟弱地盤の改良による管路施工,農業土木学会誌,67(5),511-516,1999
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