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家畜ふん尿・でん粉廃液貯留池に使用されたゴムシートの力学特性変化
- [要約]
- 積雪寒冷な気候条件下で農業用貯留池表面遮水材として22年間供用されたゴムシート(加硫ゴム系)の物性は、初期に比べ引張強さ、切断時伸びともに30〜50%程度減少している。また、10年間経過したゴムシートの引張強さは10〜20%減少し、切断時伸びは40%減少している。
北海道開発局開発土木研究所・農業開発部・土壌保全研究室
[連絡先]011-841-1111
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]農業施設
[対象]農業工学
[分類]研究
- [背景・ねらい]
- 貯留池に用いた遮水ゴムシートの耐用年数は温度環境、日射、貯留池の曝露環境が関与するといわれている。積雪寒冷な気候条件下において、長期間にわたりゴムシートの物性の経年変化を追跡している事例は少ないため、既設ゴムシートの経年変化を把握し、施設設計・管理に反映する必要がある。そこで、北海道内のでん粉廃液貯留池(22年経過)及び家畜ふん尿貯留池(10年経過)で供用されたゴムシート(加硫ゴム系)の物性変化について、検討を行う。
- [成果の内容・特徴]
- 敷設から22年経過したでん粉廃液貯留池法面部のゴムシート(厚さ2mm)の引張強さは、常温下で約5.0MPa(51kgf/cm2)、低温下で約9.1MPa(93kgf/cm2)であり、初期の強度に比べ47%、27%程度減少している。また、切断時の伸びは常温下250%、低温下280%と初期の伸びに比べ49%、32%程度減少しているものの、常・低温下においても伸び特性は維持されている。
- 敷設から10年経過した家畜ふん尿貯留池法面部(北・南向き)の貯留面上・下部より採取したゴムシート(厚さ1mm)は、初期値に比べ、引張強さが10〜20%減少し、伸びが40%減少している。引張強さは、初期値に比べ10〜20%程度減少している。
- 上記の2試料については、10、22年の供用を経ても、遮水材料としての機能を維持している。
- [成果の活用面・留意点]
- 北海道のように積雪寒冷な気候条件下においても、敷設から22年経過したゴムシート(加硫ゴム系)の引張強さは4.9MPa(50kgf/cm2)、切断時伸びは200%以上の特性を有しており、加硫ゴムは弾性体としての特徴を維持していることから、耐候性を有する材料として扱える。一般部(シート自体)については上記のとおりであるが、接着部については別途検討する必要がある。
- [具体的データ]
- 図1
- 図2
- [その他]
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研究課題名:家畜ふん尿・でん粉廃液貯留池に使用されたゴムシートの耐候性
予算区分:経常
研究期間:平成11年度
研究担当者:秀島好昭、宮川真、小野寺康浩、田鹿秀則
発表論文等:なし
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