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北海道におけるカントリーエレベータの籾調製貯蔵技術


[要約]
北海道におけるカントリーエレベータのサイロ内籾貯蔵における籾の品質は自然放冷で低温貯蔵と同等、冬期通風冷却ではこれ以上に保持される。さらに籾の品質保持には貯蔵前の籾精選別が重要となる。
北海道立中央農業試験場・農業機械部・機械科、経営部・経営科
北海道大学・農学部・農産物加工工学研究室
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]機械  農業施設
[対象]稲類
[分類]指導
[背景・ねらい]
北海道のカントリーエレベータにおける籾精選別技術と寒冷気候を利用したサイロ内籾低温貯蔵技術および貯蔵後の安全な籾摺条件を明らかにし、代表的な施設事例の実態調査からカントリーエレベータの経済性と運営方式を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 比重選別機、風力選別機、インデントシリンダ型選別機を組み合わせた籾精選別工程により、品質低下原因となる脱ぷ粒や未熟粒などを除去し、整粒割合を上げ、貯蔵効率や籾摺歩留、品質を向上させることができる。
  2. 北海道におけるサイロ内籾貯蔵では、自然放冷でも7月までは低温倉庫と同様の品質保持効果が得られた(図1)。サイロ内籾への冬期冷気通風により籾全体を氷点下に冷却可能であり、8月中旬の排出時点まで低温貯蔵より高い品質の保持が可能である(図2)。
  3. 排出時の籾温度が気温に近い時は直接籾摺でも玄米に胴割は生じない。籾温度が低い時でも揺動選別前後の玄米温度が籾摺機周辺空気の露点温度よりも高ければ胴割は発生せず、低い場合は籾の昇温が必要である。胴割を防止するには露点温度計で籾摺機周辺の露点温度を直接測定して判断することが望ましいが目安として図3を使用できる。
  4. 農家の個人乾燥、営農倉庫での貯蔵とカントリーエレベータによる乾燥調製貯蔵のコストを比較すると、カントリーエレベータの貯蔵コストは高い。乾燥から貯蔵、出庫までの総コストを低くするには、カントリーエレベータの利用に関わる水稲の栽培・収穫作業の組織化や籾殻堆肥化事業などを組み合わせ、費用割合の多い人件費の節減を図り、乾燥調製コストを低くすることが重要である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 北海道全域のカントリーエレベータのサイロにおける籾貯蔵方式に適用する。
  2. サイロ貯蔵籾の冷却は初夏以降まで籾貯蔵予定のサイロに適用する。
  3. サイロ内の籾冷却は施設に付属する籾精選別装置、ローテーション装置、乾燥機、送風機などを冬期に利用して行う。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:北海道における籾調製貯蔵技術(指導参考)
[その他]
研究課題名:バラ籾調製・貯蔵技術の確立
予算区分:道費
研究期間:平成11年度(平成8〜11年)
研究担当者:竹中秀行、原令幸、玉木哲夫、川村周三、荻間 昇
発表論文等:なし

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