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高水分乳牛糞尿を原料とした堆肥貯留時におけるシート被覆効果


[要約]
高水分乳牛糞尿の堆肥列に対するシート被覆は、堆肥への雨水の浸入を防ぐことにより、排出されるれき汁量を減少させ、肥料成分の流亡を抑制する効果がある。
北海道立根釧農業試験場・研究部・酪農施設科、土壌肥料科
[連絡先]01537-2-2004
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]農業施設
[対象]農業工学
[分類]指導
[背景・ねらい]
「家畜排せつ物の管理の適正化および利用の促進に関する法律」が施行され、野積みの禁止、堆肥盤への屋根の設置など、乳牛糞尿処理のコスト増が避けられない状況となっている。そこで、堆肥化支援技術として高水分乳牛糞尿を原料とした3t〜6t規模の堆肥列に対し、通気性シートおよび防水シートで被覆し、その被覆効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 透気度が74〜1972sec/100ccと大きな差があるが、無被覆の蒸発量に対する水蒸気透過率が16〜18%である通気性シート(表1)を堆肥列に被覆しても、堆肥列の重量減少率(通気性シート:50%、防水シート:53%)、肥料成分含有率(表2)は被覆資材の違いによる大きな差はみられない。
  2. シート被覆により雨水侵入が抑制されるため、堆肥列の重量減少率はシート被覆では45%、無被覆では36%とシート被覆が高く、堆肥温度は無被覆に比べ高くかつ安定して推移する。また、体積減少率はシート被覆と無被覆による差は小さい。堆肥列中の水分含有率はシート被覆と無被覆では大差はない。また、肥料成分含有率では、リンおよびカリウムではシート被覆により含有率が高く維持される(表3)。
  3. シート被覆により雨水侵入が抑制されるため、排出されるれき汁量は無被覆の22〜33%に抑制でき、肥料成分の排出、特にカリウムは無被覆の26〜43%に抑制できる(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 被覆資材は、経済性と耐久性を考慮して選択する。
  2. シート被覆した堆肥列は地下浸透を防止した場所に設置し、れき汁の貯留施設を併設する必要がある。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:高水分乳牛糞尿に対するシート被覆効果(ダイヤカウシートの牛糞尿の乾燥、発酵促進の効果確認試験)(指導参考)
[その他]
研究課題名:高水分乳牛糞尿に対するシート被覆効果
      (ダイヤカウシートの牛糞尿の乾燥、発酵促進の効果確認試験)
予算区分:受託
研究期間:平成11年度(平成9〜11年度)
研究担当者:木村義彰、松本武彦、高橋圭二、宝示戸雅之
発表論文等:なし

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