cryo99038
てんさいの組織培養における系統間差とin vitroでの維持および増殖法
- [要約]
- アルファルファ生草の粗蛋白質含量と分解性・溶解性蛋白質含量には、正比例の関係がある。アルファルファのカルシウム含量と粗蛋白質含量間には明確な関係は認められないが、カリウム含量は生育初期の高蛋白質含量時に高い。
北海道立中央農業試験場・生物工学部・細胞育種科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]基盤研究
[専門]バイテク
[対象]工芸作物類
[分類]研究
- [背景・ねらい]
- 組織培養や遺伝子操作等のバイオテクノロジー技術を用いた新しい育種法をてんさいに応用するため、てんさいの組織培養における系統間差を明らかにするとともに、系統(遺伝子型)に左右されない再分化系を確立する。さらに培養苗の安定的な維持法および効率的な増殖法を検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 北海道農業試験場育成によるてんさいの6自殖性雄性不稔維持系統、4自家不和合性雄性不稔維持系統、2花粉親系統の計12系統(表1)を用いて、てんさいの組織培養における特性を比較したところ、著しい系統間差異があることが明らかになった(図1、図2、図3)。
- 特に自殖性雄性不稔維持系統内においては、調査したカルス形成、不定胚形成および直接不定芽形成のいずれの特性においても系統間差が大きかった。「NK-219mm-O」はいずれにおいても高い形成能を示す一方で、「NK-195mm-O」、「NK-229mm-O」および「NK-237BRmm-O」の3系統は全くカルスを形成せず、「NK-220mm-O」は極めて低い不定胚形成率であり、「NK-237BRmm-O」および「NK-244BRmm-O」の2系統は直接不定芽形成を示さないなど、培養の困難な系統が多かった。自家不和合性雄性不稔維持系統内の系統間差は比較的小さかった。
- カルス形成における系統間差異を克服することを目的に、全くカルス形成をしない「NK-195mm-O」および「NK-229mm-O」の2系統を用いて、カルス形成培地へのオーキシンの追加や新たな植物ホルモンの使用により、カルス形成が可能となるかを検討したが、カルス形成は見られなかった。
- 不定胚形成率が著しく低い系統「NK-220mm-O」の葉片由来カルスを用いて、不定胚形成培地の3種類の植物ホルモン、BAP、ABA、TIBAの濃度を変更することで、不定胚形成率の向上が見られるかを検討したが、全く効果はなかった(表2)。
- 培養苗の維持は、植物ホルモン無添加の培地で2ケ月毎に継代することで容易に可能であった。培養苗の増殖は、0.1mg/lBAPを含む培地を用い腋芽の伸長を促すことで可能となり、増殖率は3〜4倍程度となった。その際、キャップは、メンブレン付キャップの使用が必須であった(表3)。
- [成果の活用面・留意点]
- てんさいのバイオテクノロジー育種を進める際の基礎資料となる。
- 培養苗の維持および増殖法は、てんさい育種におけるの有用母本のin vitroでの保存および有用個体の大量増殖に利用できる。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:てんさいの組織培養における系統間差とin vitroでの維持および増殖法(研究参考)
- [その他]
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研究課題名:新しい育種技術に対応するてん菜の効率的培養系の確立
予算区分 :受託
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:玉掛秀人
発表論文等:なし
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