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業務用米の実需者ニーズと品質に係わる実態調査
- [要約]
- 卸企業は米の仕入れで良食味・値頃感・通年的な品質の安定性を重視し、仕入理由は産地で異なる。業務用米の販売はブレンドが主体であり、これは食味、価格、安定が重視される。外食は中食と比較して米の価格が高い。北海道産米は、低価格・食味が悪い・銘柄の認知度が低く、白度を向上と砕け米を少なくすることが必要であり、通年的な安定性が求められた。
北海道立上川農業試験場・研究部・水稲栽培科、土壌肥料科、稲育種科
[連絡先]0166-85-2200
[部会名]作物
[専門]食品品質
[対象]稲類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 米の消費量は年々減少しているが、外食・中食における米の消費割合は増加しており全体の30%を占めている。そこで、業務用米の実需者ニーズと品質の実態をアンケート調査により把握し、今後の北海道産米の生産・流通・販売戦略をたてるための資料とする。
- [成果の内容・特徴]
- 卸企業の米を仕入れる理由は「良食味」が最も多く、次いで「値頃感」、「通年的な品質の安定性」、「ブランドイメージ」があげられ、この理由と産地には密接な関係があった(図1)。
- 卸企業の品質管理では食味計の食味値、整粒歩合、タンパク含有率、水分、白米白度が重視され、食味計ではサタケ食味計、ケット食味計、トーヨー味度メーターなどが導入されていた。
- 外食・中食の品質検査項目は、自社内では官能検査、購入元では食味計が利用されていた。検査項目の基準値は食味値73.6〜81、アミロース含有率18.6〜19.9%、タンパク含有率6.8〜7.4%、白米白度39.5〜42.3、整粒歩合93.9〜100%、水分14〜15.1%であった(表1)。
- 北海道産米はブレンドで57.1%使用されており、単品での使用は31.4%であった。ブレンドの対象銘柄品種はコシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまちの順であった。
- ブレンド米を使用している割合は外食よりも中食で多かった。ブレンド米を使用する理由は、外食では食味向上、低価格で増量に対して、中食では食味向上、飯米適性の変動回避であった。
- 北海道産米を使用する理由は低価格が最も多く、使用しない理由は食味が悪いなどであった。北海道産米に求める品質改善項目は「白度の向上」、「砕け米を少なく」、「粒を大きく」、炊飯米に対しては「うまみ向上」、「老化しにくく」などがあげられた(表2)。
- 業務用米の理化学成分・無機成分を分析した結果、北海道産米に比べてマグネシウム/カリが高く、アミロース含有率が低く、白米千粒重が小さく、白米白度が高く、タンパク含有率およびPB-・比率が低い傾向であった。
- [成果の活用面・留意点]
- 北海道産米の栽培指標と生産・流通・販売戦略および育種戦略作成に活用する。
- 本アンケート調査は1997年〜1998年のデータを用いたものである。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:業務用米の実需者ニーズと品質に係わる実態調査(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:業務用米の実需者ニーズと物性に係わる実態調査
予算区分:国費助成
研究機関:平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:五十嵐俊成、後藤英次、平山祐治
発表論文等:なし
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