複合耐病性を持ち製餡適性に優れるあずき新品種候補系統「十育140号」


[要約]
あずき 「十育140号」は北海道で最初のアズキ落葉病、茎疫病、萎凋病に複合抵抗性を持つ中生の系統であり、種皮色、子実の形は「エリモショウズ」に類似し、餡色が良好(赤紫系)で風味が強く製餡適性に優れる。
北海道立十勝農業試験場・研究部・豆類第二科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]豆類
[分類]普及
[背景・ねらい]
北海道におけるあずきの重要病害は、アズキ落葉病、茎疫病及び萎凋病の土壌病害で、いずれも耕種的あるいは薬剤による防除は難しい。また土壌病害の発生を予め知ることは困難であり、同一圃場でも複数の病害が発生するので、これら3病害全てに抵抗性を有する品種が要望されていた。
[成果の内容・特徴]
  1. 平成元年に十勝農試で交配(「十系494号」×「十系486号」)し、その後主に土壌病害発生圃で選抜し、平成11年の世代はF11である。
  2. アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病に複合抵抗性を持つ中生の系統であり、これら病害が発生した圃場で「エリモショウズ」より多収になる。
  3. 種皮色、子実の形は「エリモショウズ」に類似し、餡色が良好(赤紫系)で風味が強く製餡適性に優れる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 北海道の道央、道北、道南の中生種栽培地帯のアズキ落葉病、茎疫病については萎凋病発生地域及びこれに準ずる地帯の「エリモショウズ」、「きたのおとめ」の一部と「アケノワセ」、「寿小豆」に置き換えて普及する。
  2. アズキ落葉病、茎疫病及び萎凋病に抵抗性をもつが、落葉病、茎疫病については本系統を侵す菌系が確認されているので、栽培に当たっては適正な輪作を行う。
  3. 耐冷性が弱いので、安定生産のため栽培適地を遵守する。
  4. 排水不良圃場では、茎疫病の発生を防ぐため排水対策に努める。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:あずき新品種候補系統「十育140号」(普及奨励)
[具体的データ]
表1
表2
表3
図1
[その他]
研究課題名:小豆新品種育成試験
予算区分  :指定試験
研究期間  :平成11年度(平成元年〜平成11年)
研究担当者:村田吉平、藤田正平、青山 聡、千葉一美、松川 勲、白井滋久、島田尚典、三浦豊雄、越智弘明、近藤則夫
発表論文等:なし

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