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いちご新品種候補系統「道南26号」
- [要約]
- いちご「道南26号」は、収穫始が「宝交早生」とほぼ同等の早生で、平均1果重が重く、上物率が高い。先白果の発生は認められず、中心空洞は「きたえくぼ」より小さい。食味は良好で、日持ち性に優れる。
北海道立道南農業試験場・研究部・園芸科
[連絡先]0138-77-8116
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]果菜類
[分類]普及
- [背景・ねらい]
- 現在、無加温半促成用の品種としては「宝交早生」と「きたえくぼ」があるが、「宝交早生」は果実が軟らかく日持ち性、輸送性に劣り、果形が悪いなどの欠点がある。「きたえくぼ」はこれらの欠点が改良された品種で市場評価も高まっているが、収穫始が「宝交早生」より遅いことや先白果が発生し易いことなどから作付面積は25ha弱にとどまっている。「道南26号」は、熟期が「宝交早生」並の早生で、果実品質(食味、硬度、日持ち性)が「きたえくぼ」並で障害果の発生が少ないことを目標として育成された。
- [成果の内容・特徴]
- 収穫始は「宝交早生」と同等から2日程度遅い。(表1)
- 「きたえくぼ」に比べ、果数が少ないため収量性はやや劣るが、上物収量は「宝交早生」並である。上物率は「宝交早生」、「きたえくぼ」より高く、平均1果重も重い。(表1)
- 果実硬度は「きたえくぼ」より硬く、光沢に優れ色むらが少なく、先白果の発生は認められない。中心空洞は「きたえくぼ」より明らかに小さい。(表2)そう果の着色は少ないが本道の市場では問題はない。
- 糖度はほぼ「きたえくぼ」並で酸度は「きたえくぼ」よりやや低く、糖酸比は「きたえくぼ」より高い。食味は「宝交早生」より良好である。(図1)
- 日持ち性は「宝交早生」より明らかに優り、「きたえくぼ」とほぼ同等である。(表2)
- 灰色かび病は「宝交早生」と同等、うどんこ病は「きたえくぼ」並の強さである。萎ちょう病は「宝交早生」よりやや強く、萎黄病は「宝交早生」より明らかに強い。
- [成果の活用面・留意点]
- 適応作型は無加温半促成作型である。
- 果数が少ないため、果房数が確保できない場合は減収となることがあるので、適期定植を行い秋の生育量の確保に努める。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:いちご新品種候補「道南26号」(普及奨励)
- [その他]
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研究課題名:イチゴ新品種育成試験
予算区分:道単
研究期間:平成11年度(平成5〜11年)
研究担当者:川岸康司・加藤俊介・生方雅男・阿部珠代・立川さやか・稲川裕・福川英司
発表論文等:川岸康司・福川英司・阿部珠代,イチゴの成熟に伴う果皮色の変化,北海道
園芸研究談話会報,第33号,2000.
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