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良食味たまねぎ新品種候補系統「北見交27号」
- [要約]
- たまねぎ「北見交27号」は辛味の指標となるピルビン酸生成量が少なく、生サラダやソテーの食味評価が高い。また、貯蔵性も高いことから、良食味たまねぎとして長期安定供給が可能である。
北海道立北見農業試験場・研究部・園芸科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]葉茎菜類
[分類]普及
- [背景・ねらい]
- 「北見交27号」はホクレン農業総合研究所との共同研究において、球肥大が良好で辛みが少なく良食味であり、かつ貯蔵性の高い品種を目標に育成された。「北見交27号」は、ホクレン農総研がオランダのアドバンタ社(前ファンデルハーベ社)から導入した細胞質雄性不稔系統「AOPFA」を種子親とし、北見農業試験場が「北見黄」から育成した花粉親系統「81S」を交配して得られた単交配一代雑種である。
- [成果の内容・特徴]
- 葉数は「ウルフ」とほぼ同等である。草丈は「トヨヒラ」、「ウルフ」と同等で、「ツキサップ」より高い。草姿はこれら3品種より開張する。葉折れは「ウルフ」程度でやや多く、葉先枯れは「ツキサップ」同様で、やや多い。
- 倒伏期は「ツキサップ」、「トヨヒラ」と同程度で、「ウルフ」よりやや遅い(表1)。
- 乾腐病に対してはこれら3品種より抵抗性が低い(表2)。灰色腐敗病などボトリチス属菌による病害と「肌腐れ症状」も多い傾向である(表1)。虫害はやや多い傾向である。
- 平均一球重は「ツキサップ」よりやや優り、「トヨヒラ」並である(表1)。規格内率は「ツキサップ」並で、「トヨヒラ」よりやや優る。規格内収量は「ウルフ」より劣るが、「ツキサップ」、「トヨヒラ」と同等からやや優る。
- りん葉は厚く、球の硬さは「ツキサップ」、「トヨヒラ」と同等か、やや軟らかい(表3)。辛さの指標となるピルビン酸生成量は低く、貯蔵中の増加も少ない傾向である。生サラダ、ソテーの食味評価は一般の春播き品種に比較して高い(図1)。外皮色の濃さは「ウルフ」より劣るが、「トヨヒラ」並である。
- 貯蔵後健全率は「ツキサップ」、「トヨヒラ」より劣るが、「ウルフ」より優る(表1)。貯蔵後の皮むけ程度は「トヨヒラ」に優る。
- [成果の活用面・留意点]
- 乾腐病多発圃場での栽培は避けて、ボトリチス属菌による病害、「肌腐れ」症状等による腐敗球についても、年次、場所により多発する事例が認められるので、これらに対する適切な防除の実施に留意する。
- 地温30℃を超えると発芽率が劣るので、播種後の温度管理に留意する。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:たまねぎ新品種候補「北見交27号」(普及奨励)
- [その他]
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研究課題名:業務用途に適するたまねぎ新品種育成,タマネギ新品種育成試験
予算区分:共同,道単
研究期間:平成11年度(昭和56年〜平成11年)
研究担当者:宮浦邦晃・品田裕二・中野雅章・志賀義彦・田中静幸・入谷正樹・駒井史訓・
小谷野茂和(以上,北見農試)・森 尚久・後藤正宣・佐藤政雄・佐古敬一・高井義之・
児玉幹司・西村直樹・五十嵐 敏(以上,ホクレン農総研)
発表論文等:なし
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