宿根かすみそうの新しい栽培法と排水不良圃場における水分管理法
- [要約]
- 宿根かすみそうの用途別需要に対応したM・Sクラスの切花を量産するための多茎仕立て法を開発した。また、品質保持法として排水不良な圃場では隔離床、遮根シートを用いると日持ち性が向上した。
北海道立花・野菜技術センター・研究部・花き第一科、花き第二科、土壌肥料科
[連絡先]0125-28-2800
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]花き類
[分類]普及
- [背景・ねらい]
- 本道は夏秋期の宿根かすみそう主産地として期待されているが、「老け花」の多発や長時間輸送での品質低下など課題も多い。また用途別の需要に対応することも求められている。そこで品質改善の方法としての仕立て法と水分管理法について検討した。
- [成果の内容・特徴]
- M・Sクラスの切花を量産するには2回摘心を行い8〜12本に仕立てる方法が適しており、摘心位置は1回目が5節、2回目は各茎の11節目が適当である。
- この多茎栽培により総労働時間は若干増えるが、採花・調製労力が軽減される(表1)。多茎栽培は慣行栽培よりも所得の変動が少なく、収益性の高い栽培法である(表2)。
- 排水不良な圃場については隔離床、遮根シートが有効であり、これらの栽培法で開花枝展開期までの灌水によって調製重や切花長の低下を抑え、日持ち性を向上させることができる。
- 定植後はpF2.0程度を灌水の開始点とし、1回の灌水量は生育状況によって5〜10oで調節する。開花枝展開期以降はpF2.9程度を灌水の開始点とし、乾燥気味に管理する(図1)。
- 多茎栽培、隔離床栽培、遮根シート栽培した切花は吸水能力が高く、保鮮剤処理および水挿しにおける重量増加が大きく、かつ輸送中の重量減少も少なくなり、採花後の老け花が抑制される(図2、3)。
- [成果の活用面・留意点]
- 多茎仕立て法の成績は6月植え雨よけ9月切り作型の当年株に適用する。
- 透排水性不良な土壌の条件は、土性:C〜CL、有効土層:60p以下、心土の緻密度:19o以上、透水係数(有効土層):10-4p/s以下、気相率:15%未満、地下水位:60p以上など、である。
- 鮮度保持試験には同一採花日の材料を供試した。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:宿根かすみそうの品質改善のための仕立て法・水分管理法および鮮度保持法(普及奨励)
- [その他]
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研究課題名:宿根かすみそうの品質改善のための仕立て法・水分管理法および鮮度保持法
(宿根かすみそうの作型に対応した品質改善技術)
予算区分:道単
研究期間:平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:鈴木亮子・印東照彦・鎌田賢一
発表論文等:鎌田賢一・鈴木亮子・印東照彦,宿根かすみそうの栽培方式・水管理法と
生育および品質との関係,日本土壌肥料学会,北海道支部大会講演発表(1999)
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