野菜を組み入れた畑輪作における生産不安定要因の摘出
- [要約]
- 前作が豆類・スイートコーンの場合、後作の根菜類にさまざまな生育障害が発生する。前作の野菜の違いが後作の畑作物の生理障害や病害発生に与える影響は認められない。現地における根菜類のリゾクトニア病は連作・過作による場合がほとんどである。
北海道立十勝農業試験場・研究部・園芸科、病虫科、作物科、豆類1科、豆類2科、てん菜科、とうもろこし科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 畑作物8作物(小麦・てんさい・ばれいしょ・スイートコーン・大豆・小豆・菜豆・ヘイオーツ)と野菜5作物(ながいも・ごぼう・だいこん・にんじん・キャベツ)を組み合わせて、前作の違いによる各作物の生育・収量・品質・生育障害の発生を比較検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 供試した各畑作物の収穫残さを慣行法により鋤込んだ場合、てんさいでは1.0s/a近い量の窒素 が圃場に還元される。
- ながいも:収量に及ぼす前作の影響は小さい。前作がスイートコーン・豆類の場合に、表皮に褐色の小斑点症状が多発した。この褐色斑点症状に対する殺センチュウ剤の処理効果は低い。
- ごぼう:殺センチュウ剤を使用しないと、前作がスイートコーン・豆類の場合には生育が抑制され、黒色の病斑をともなう奇形根、および褐色の小斑点症状(ゴマ症)が多発した。殺センチュウ剤処理はゴマ症に対する抑制効果は低い。
- だいこん:根の肥大は、「てんさい後」がもっとも旺盛であり、「小麦後」や「ヘイオーツ後」に比べると約3日生育が早まった。軟腐病発生率の試験区間差は小さく、12〜19%の範囲であった。
- にんじん:収穫時の根重は、初期生育の劣った「てんさい後」・「ヘイオーツ後」では生育の良かった「大豆後」に比べ、生育日数で約一週間の遅れがあった。殺センチュウ剤を使用しない場合の規格内収量は「スイートコーン後」・「豆類後」において裂根が多く発生したために低くなった。
- キャベツ:結球部の肥大は「てんさい後」が旺盛であり、「スイートコーン後」・「小豆後」・「小麦後」に対して2〜3日の生育促進となった。病害では軟腐病および菌核病が発生したが、発生率は全般に低く、明確な試験区間差はない。
- 前作野菜の違いが後作畑作物の生理障害や病害の発生に与える影響は認められない。
- ながいもにおけるリゾクトニア病の現地での発生実態は、連作・過作による場合がほとんどである。現地での発病株(ながいも・ごぼう・だいこん・にんじん)から分離した菌糸融合群・培養型は「AG2-2 VB」と同定された。
- [成果の活用面・留意点]
- 本成績は、畑輪作の中に野菜を導入する際の参考資料として利用できる。
- 本試験におけるすべての栽培試験は、淡色黒ボク土である十勝農試圃場で行われた。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:野菜を組み入れた畑輪作における生産不安定要因の摘出(指導参考)
- [具体的データ]
- 表1
- 表2
- 表3
- 表4
- [その他]
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研究課題名:新規作物導入における輪作条件の解明
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:平成11年度(平7〜11年)
研究担当者:西田忠志・黒崎友紀・入谷正樹
発表論文等:
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