トルコギキョウの秋季出荷栽培法の改善


[要約]
トルコギキョウの秋季栽培で、育苗時、定植後の短日処理によって早期開花しやすい秋季の開花調節が可能であるが、処理には品種間差認められる。
北海道立花・野菜技術センター・研究部・花き第二科
[連絡先]0125-28-2800
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]花き類
[分類]指導
[背景・ねらい]
トルコギキョウは全国的には秋季に端境期となる。道内でも高温期を経過する秋季栽培は不安定である。栽培の安定化をめざし、品種の適性、短日処理による開花調節を検討し、秋季出荷栽培法改善の一助とする。
[成果の内容・特徴]
  1. 品種では、本作型が高温期を経過するため、開花が早まり切り花長、分枝数、花蕾数等が不足気味となり、生育後半は低温・寡日照となるので早晩生も考慮して、花色・花弁タイプ別に安定的に採花可能と思われる23品種の特性をまとめた。
  2. 5月中旬以降は種の生育、品質が劣る。秋採花栽培のは種期は、開花時期を考慮しなければ、5月上旬までがは種の適期である。(表1
  3. 高夜温(21℃)育苗ではロゼットの発生がみられる。しかし、短日処理によりロゼットの発生を軽減でき、形質確保が可能。また、低夜温の短日処理により開花が抑制され、切り花長が長くなる。(表2
  4. 育苗(15℃〜)での短日処理で、開花期の抑制、切り花重・長、茎径の増加等認められ、育苗中、並びに定植後の短日処理によって、秋採花栽培で問題になる早期開花とそれに伴う形質不足が改善される。
  5. 5月上旬は種で、育苗、定植後に短日処理を行うことで、開花期の調節が可能と考えられる。特に秋採花(10〜11月)の栽培では、年、品種、は種期により開花早晩、品質等生育面で差が見られ、高温年では開花が早まり9月中の採花となる。そこで、生育面で劣り不安定な5月中旬以降は種を避け、5月上旬は種とし短日処理を組み合わせることで、開花時期を調節する。その目安を図−1に示す。これは高温年の平成11年の結果を基にしているので、品種、その年の気象経過等により変動するので注意する。
[成果の活用面・留意点]
  1. トルコギキョウの秋季出荷栽培のための品種選定、短日処理法の参考とする。
  2. 品種は5月上旬は種作型での特性で、生育後半(10月以降)は加温条件(15℃〜)とした。
  3. 育苗期短日処理中の高温によるロゼットに注意。
  4. 短日処理効果の品種間差に留意する。
  5. 定植後の短日処理効果は高温年の平成11年の結果であることを考慮する。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:トルコギキョウの秋季出荷栽培法の改善(指導参考)
[その他]
研究課題名:トルコギキョウの秋季出荷作型の開発
予算区分:道単
研究期間:平成11年度(平成8年〜11年)
研究担当者:加藤俊介
発表論文等:1.トルコギキョウの秋季出荷作型の開発(第1報)夜温、日長の違いによる生育、
       北海道園芸研究談話会報、第30号、42-43、1997
      2.トルコギキョウの秋季出荷作型の開発(第2報)出蕾後の温度及び照度が覆輪
       系品種の花色に及ぼす影響、北海道園芸研究談話会報、第31号、60-61、1998
      3.トルコギキョウの秋季出荷作型の開発(第3報)育苗時の日長処理の影響、北
       海道園芸研究談話会報、第31号、62-63、1998

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