たまねぎ細胞質雄性不稔系統「S7946-10-05A」およびその維持系統「S7946-10-05B」


[要約]
たまねぎ細胞質雄性不稔系統「S7946-10-05A」を種子親として、オランダの花粉親系統を交配すると、収量性が高く、球品質(球のしまり、皮張り)に優れ、欧州中南部地域に適するF1品種を育成できる。
北海道立北見農業試験場・研究部・園芸科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]葉茎菜類
[分類]研究
[背景・ねらい]
細胞質雄性不稔系統「S7946-10-05A」は、北見農業試験場保有の花粉親系統やホクレン農業協同組合連合会との共同育成による花粉親系統との交配では、高貯蔵性で外観品質は良好であるが、球肥大性が劣るため実用的なF1組合せが得られなかったことから、遺伝資源として保存されていたものである。しかし、高緯度で栽培環境の大きく異なる欧州では、中生からやや早生で収量性がやや高く、皮むけの少ない高品質の有望F1系統を育成することが可能であった。
[成果の内容・特徴]
  1. 両系統ともに「北もみじ」に比較して4〜5日遅い中晩生である(表1)。
  2. 両系統ともに乾腐病の発生がみられ、また年次によりボトリチス属菌による病害の発生がやや多く、「肌腐れ」症状等もやや多い(表1)。
  3. 両系統ともに規格内率は同等だが、球肥大性は劣る(表1)。
  4. 両系統ともに地球型である。球は硬く、揃いはほぼ同等である。皮色と皮むけ程度はやや優る(表1)。
  5. 両系統ともに「北もみじ」より高貯蔵性である(表1)。
  6. 両系統とも採種栽培時の均一性と花茎のねじれは中程度である。両系統の開花期は揃い、稔性変化はわずかである(表2)。
  7. 「S7946-10-05A」はオランダの育成系統など遠縁の花粉親と組合せた場合、収量性が高く、球品質(球のしまり、皮張り)に優れ、欧州中南部地域に適するF1品種を育成することができる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「S7946-10-05A」はオランダの育成系統のような遠縁の花粉親との組み合わせ能力に優れ、F1品種育成のための種子親系統としての利用が期待できる。
  2. 母球養成世代では、乾腐病、ボトリチス属菌による病害並びに「肌腐れ」症状等の発生に留意する。
  3. 「S7946-10-05A」の維持・増殖には維持系統「S7946-10-05B」が必要である。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:たまねぎ細胞質雄性不稔系統「S7946-10-05A」およびその維持系統「S7946-10-05B」(研究参考)
[具体的データ]
表3
[その他]
研究課題名:タマネギ新品種育成試験
予算区分:道単
研究期間:平成11年度(昭和54年〜平成11年)
研究担当者:宮浦邦晃・品田裕二・中野雅章
発表論文等:なし

戻る