生乳中の脂溶性ビタミンおよびラクトフェリンの動態
- [要約]
- 放牧草の利用および中止に伴う生乳中のビタミンE(α-トコフェロール)とβ-カロチン濃度の動態は異なり、β-カロチンに較べビタミンE濃度は利用に伴う濃度上昇が緩慢で中止後の濃度低下は早い。生乳中のラクトフェリン濃度は対数正規分布を示し細胞数の影響を強く受けている。
北海道立根釧農業試験場・研究部・酪農第二科
[連絡先]01537-2-2004
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]食品品質
[対象]家畜類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 牛乳中の栄養成分であるビタミンE、β-カロチン、さらには機能性成分であるラクトフェリンの動態と変動要因を明らかにして、今後の牛乳品質の向上技術開発のための資料とする。
- [成果の内容・特徴]
- 放牧開始後に血清および乳脂肪中のビタミンEとβ-カロチン濃度は漸増するが、ビタミンE濃度が安定する時期は血清中では21日以降と乳脂肪中の63日以降とは異なるのに対し、β-カロチンでは濃度が安定する時期はいずれも42日以降と同時期である(図1)。
- 放牧中止後の乳脂肪中のビタミンEとβ-カロチン濃度の減少傾向は異なり、放牧中止40日後の放牧効果の残存率はビタミンEの約40%に対してβ-カロチンでは約60%と大きい(表1)。
- 生乳中のラクトフェリン濃度は細胞数と同様に対数正規分布し、細胞数と泌乳期の影響を受けて変動する。
- 分房前搾り乳中のラクトフェリン濃度は細胞数との相関係数が0.75と高く、とくに細胞数の影響を強く受けている(図2)。
- [成果の活用面・留意点]
- 放牧期間中の脂溶性ビタミン濃度の推移は、併給粗飼料が乾物2kg程度以下でかつ放牧草が十分に摂取された条件で得られた結果である。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:生乳中の栄養・機能性成分の動態解明並びに乳脂肪組成がラットの生理・代謝に及ぼす影響
(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:高血圧ラット「SHR」を利用した飼養条件と牛乳の機能性品質との関連
解明
予算区分:道単
研究期間:平成11年度(平成8〜10年度)
研究担当者:高橋雅信・糟谷広高・八田忠雄・芹川 慎
発表論文等: なし
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