フードミールの養豚飼料としての評価


[要約]
食品残渣を熱油浴減圧により乾燥し、粉砕処理したフードミール(仮称)の乾物中CPは22.2%、粗脂肪は11.8%と高い。CP消化率は47%でかなり低く、DCPは10.4%、TDNは83.8%である。フードミールは肥育豚による嗜好性が良い。
北海道立滝川畜産試験場・研究部・畜産資源開発科
[連絡先]0125-28-2211
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]動物栄養
[対象]家畜類
[分類]指導
[背景・ねらい]
レストラン、給食センター、スーパーマーケット、食品加工場などの事業所から食品残渣が比較的まとまって排出される。現在はそれを生ゴミとして焼却や埋立で処理することが多く、焼却によるダイオキシンの発生など環境汚染や処理コストがかさむことから、資源としてリサイクルが切望される。
食品残渣は、従来から残飯養豚に利用されてきたが、水分が多く、保存性や流通性に劣ることが問題である。食品残渣を熱油浴減圧処理(110゚C)により効率よく乾燥し、これを粉砕処理した製造品(「フードミール」仮称)は、食品残渣の取扱い性を改善し、その再利用を進めるものとして期待される。本試験では、フードミールの養豚飼料としての栄養価および肥育効果を明らかにし、その評価を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. 製造バッチを異にするフードミール18点の一般飼料成分を調査したところ、熱量を除く各成分の変動幅はいずれも広い。平均水分含有率は4.6%と低く、保存性や流通性は改善されている。フードミールの乾物中粗蛋白質含有率は22.2%、粗脂肪含有率も11.8%と高い(表1)。
  2. 豚産肉能力検定飼料を基礎飼料として、大ヨークシャ去勢豚8頭を用い消化試験を実施したところ、フードミールの粗蛋白質消化率は47.0%で、従来の乾燥残飯のそれに比べてかなり低い。フードミールの乾物中DCP含有率は10.4%で、TDN含有率は83.8%である(表2)。
  3. 大ヨークシャ去勢豚を供試し、肥育配合飼料をフードミールで15〜30%単純代替しても嗜好性がよく、発育で劣らないが、フードミール区において多価不飽和脂肪酸の割合が高く枝肉脂肪の質は低下する(表3)。
  4. 以上より、肥育前・中期はフードミールのDCP含有率を考慮して、配合飼料の20%代替が可能である。肥育後期では、軟脂豚発生防止のため飼料からの粗脂肪給与制限により、フードミールの代替率は10%までとする。
[成果の活用面・留意点]
フードミールを飼料として製造販売するため「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」に基づき届出中である。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:フードミールの養豚飼料としての評価(指導参考)
[その他]
研究課題名:フ−ドミ−ルの養豚飼料としての評価試験
予算区分:受託
研究期間:平成11年度
研究担当者:蒔田秀夫,渡部  敢,本郷泰久,阿部英則

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