ダイズべと病の要防除水準の設定とそれに基づいた防除


[要約]
ダイズべと病による被害(減収)は開花時の発病との相関が高く、要防除水準は開花始の上位葉の病斑面積率2.5%と設定した。開花前〜開花始の発病に応じた1〜2回の薬剤散布で、本病による被害を防ぐことができる。
北海道立中央農業試験場・病虫部・病理科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]豆類
[分類]指導
[背景・ねらい]
ダイズべと病に対する品種の抵抗性、被害解析および薬剤防除を検討し、品種および要防除水準に対応した効率的な防除法を確立する
[成果の内容・特徴]
  1. べと病による被害(減収)は開花時の発病との相関が高く(図1)、べと病の防除費用を差し引いた被害許容水準を減収率2%とすると、要防除水準は開花始の上位葉(上から見た場合に見とれる葉)の病斑面積率2.5%(病斑数30個/葉、葉の全面に病斑がみられる)と設定した。
  2. 防除の対象の黄・青となりうるのは以下のべと病抵抗性が弱の黄・青大豆品種および黒大豆で、べと病抵抗性やや弱以上の品種では防除は不要である(表1)。
    黄・青白大豆:「トヨコマチ」、「トヨムスメ」、「トヨスズ」、「音更大袖」
    黒大豆:「中生光黒」、「いわいくろ」、「トカチクロ」、「晩生光黒」
    1. 開花2〜3週間前に要防除水準に達した場合
      要防除水準に達した時期とその2〜3週間後の2回散布
    2. 開花始に要防除水準に達した場合
      開花期の1回散布
    3. 開花始に要防除水準に達しなかった場合
      防除は不要(黒大豆では、汚染粒発生防止のために、開花期の1回散布)
  3. べと病抵抗性評価の標準品種は、弱:「トヨコマチ」および「中生光黒」、中:「キタムスメ」、強:「ツルムスメ」および「坂本早生」とする。
[成果の活用面・留意点]
本成績で示した要防除水準を利用することにより、大豆のべと病を効率的に防除できる。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:大豆のべと病に対する要防除水準の設定と防除対策(指導参考)
[その他]
研究課題名:ダイズべと病の総合防除法確立試験
 予算 区分:道費(豆基)
 研究 期間:平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:齊藤美奈子・小松勉
発表論文等:小松勉・竹内徹・向原元美、黒大豆におけるべと病の発病と汚染粒発生との関
     係、日本植物病理学会報、64: 334 (1998)(講要)
      齊藤美奈子・竹内徹・向原元美、rDNA ITS領域に対するプライマーを用いた全
     身感染個体からのダイズべと病菌(Peronospora manshurica)の検出、日本植物
     病理学会報、65: 333 (1999)(講要)
      齊藤美奈子・石川岳史、ダイズ品種のダイズべと病抵抗性の比較、日本植物病
     理学会報、65: 698 (1999)(講要)


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