増菌法およびPCRによるばれいしょ塊茎中の黒脚病菌(Erwinia chrysanthemi)の検出


[要約]
増菌法(Meneley and Stangellini、1976)とPCR(Smidら、1995)の組み合わせにより、ばれいしょ内部保菌塊茎から黒脚病菌(Erwinia chrysanthemi)を特異的に検出する方法を開発した。本法により植え付け前の種子塊茎の保菌検定が可能である。
北海道立十勝農業試験場・研究部・病虫科
十勝農業共同組合連合会
帯広畜産大学
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]いも類
[分類]指導
[背景・ねらい]
近年、発生が増加しているE.chrysanthemiに起因するジャガイモ黒脚病に対し、原種・採種圃場産種子塊茎を対象とした保菌検定の方法を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. ジャガイモ黒脚病菌E.chrysanthemiでは塊茎表面の他に内部保菌の存在が知られた。内部保菌が高率な種子塊茎では従来の種薯消毒剤の防除効果が劣る場合がある。
  2. PCRによる黒脚病菌の識別法(Smidら、1995)の精度は高く、多犯性であるE.chrysanthemiのうち、ジャガイモ菌のみを特異的に識別した。
  3. 増菌法(Meneley and Stanghellini、1976)およびPCRによるジャガイモ塊茎からの黒脚病菌E.chrysanthemiの検出法を開発した。
  4. 収穫後の塊茎のポット試験による腐敗検定とPCRによる検出により、植え付け前の種子塊茎保菌状況の推定が可能である。
  5. 原種・採種圃場産種子塊茎を対象として、塊茎50〜100個/筆を用いた増菌法およびPCR法による簡易な集団検定が可能である。
  6. 原種・採種圃場での病株の抜き取りは通常は病株のみを対象に塊茎単位で実施し、病株の新塊茎を圃場外に搬出することで保菌率が低下する。しかし、圃場条件によっては病株の隣接株の新生塊茎でも保菌率が高まることがある。
[成果の活用面・留意点]
本検定法は種子塊茎の生産現場での参考とする。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:増菌法およびPCRによるばれいしょ塊茎中の黒脚病菌(Erwinia chrysanthemi)の検出(研究参考)
[具体的データ]
表1 図1 図2 図3 表2 表3
[その他]
研究課題名:農作物病害虫診断
予 算 区 分:道 費
研 究 期 間:平成11年度(平成10〜11年)
研究担当者:田中文夫・鈴木裕志・川瀬由香里
発表論文等:

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