北海道におけるキンケクチブトゾウムシの生態と薬剤防除
- [要約]
- キンケクチブトゾウムシの幼虫は秋から春に多く、新成虫は6〜7月に多く出現する。成虫は数年間生存・産卵する。幼虫には、昆虫寄生性線虫剤、テフルトリン剤、カルボスルファン剤、成虫には後者2剤の他にプロチオホス剤及びDMTP剤が有効である。
北海道立花野菜技術センター・研究部・病虫科
[連絡先]0125-28-2800
[部会名]生産環境
[専門]作物虫害
[対象]花き類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 種苗や鉢植え花きの流通によって道内に侵入した害虫キンケクチブトゾウムシの生態を明らかにし、鉢物類での有効薬剤の実用性を検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 野外での発生は、春と秋に幼虫、夏に成虫の比率が高くなる。新成虫の出現は6〜7月頃である。
- 成虫は、20℃で産卵開始後から平均616.8日、最長981日以上生存している例があった(図1)。温量から野外で数年間の生存が可能と推定される。
- 成虫の過冷却点は平均-9.2℃(-4.0℃〜-17.0℃)で、幼虫は平均-15.9℃(-12.5℃〜-19.5℃)である(図2)。
- 試作した人工飼料では、成虫は少なくとも4ヶ月間の飼育が可能であるが、胚子未発生卵を産卵するようになる。幼虫の飼育はできなかった。
- 成虫には、食物への誘引性や、成虫同士の集合性が観察される。
- 鉢物類(シクラメン、ベコニア、プリムラ)での防除対策として、幼虫には昆虫寄生性線虫剤(Steinernema carpocapsae)の株元散布が高い効果がみられ、テフルトリン粒剤、カルボスルファン粒剤の株元処理では密度を半減した。成虫にはプロチオホス乳剤、DMTP乳剤の茎葉散布やテフルトリン粒剤、カルボスルファン粒剤の株元処理が有効である(表1)。
- [成果の活用面・留意点]
- 昆虫寄生性線虫、テフルトリン粒剤は未登録、DMTP剤はベコニアに未登録である。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:鉢物類のキンケクチブトゾウムシに対する防除対策(指導参考)
- [その他]
-
研究課題名:鉢物類のキンケクチブトゾウムシに対する防除対策
(侵入害虫に対する防除対策試験)
予算区分:道費
研究期間:平成11年度(平成8〜11年)
研究担当者:柿崎昌志・水島俊一・小高 登
戻る