ジャガイモそうか病の発病におよぼす有機物施用および耕土処理の影響
- [要約]
- 有機物資材や土壌酸度調整資材の施用、軽石流堆積物客土や天地返し等の耕土処理がそうか病の発病におよぼす影響は土壌pHよりも交換酸度(y1)の変化でより良く説明できる。y1の変化をもたらさなかったり、低下させる資材の施用や処理では発病軽減効果が見られなかったり、発病度を高める。
北海道立北見農業試験場・研究部・土壌肥料科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]いも類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- ジャガイモそうか病と土壌管理との関係については、有機物施用がそうか病発生を助長するという懸念がもたれているが、これまでの発生実態調査では明確な結論が得られていない。また土地改良との関係では、客土が発病におよぼす影響などについて知見が求められている。本研究では、有機物施用、軽石流堆積物客土や天地返しなどの耕土処理がそうか病の発病におよぼす影響を明らかにする。
- [成果の内容・特徴]
- 有機物施用がそうか病の発病におよぼす影響は土壌pHよりも交換酸度(y1)によって良く説明される。バーク堆肥の施用はy1を減少させ、発病度を高める(図1)。
- 培養実験の結果から、牛糞堆肥の施用もバーク堆肥と同様にy1の減少をもたらし、そうか病の発病を助長する可能性がある(図2)。
- そうか病発病圃場の土層は、耕起深よりさらに10pほど下まで発病に十分な病原菌密度を有している。
- 発病土にy1が極めて小さい軽石流堆積物を混合して10倍に希釈しても発病度は低下しない。無病土の混合によりy1が増大した場合には発病度の低下が認められる(表1)。
- 軽石流堆積物はpH緩衝力が小さいため、客土時に少量の土壌酸度調整資材を併用することで、発病軽減効果を得ることができる(表2)。
- 現地圃場における天地返し処理では、発病軽減効果は見られない。
- [成果の活用面・留意点]
- そうか病発病圃場では、ばれいしょ作付けにあたってy1を減少させる効果のある有機物を鍬込まないよう留意する。
- そうか病を抑制する目的で軽石流堆積物を客土する場合は、土壌酸度調整資材を併用する。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:ジャガイモそうか病の発病におよぼす有機物施用および耕土処理の効果(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:ジャガイモそうか病総合防除法開発試験
(II.土壌環境改善による発病抑制技術の開発)
予算区分:受託
研究期間:平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:鈴木 慶次郎・志賀 弘行
発表論文等:ジャガイモそうか病の発病に対する有機物施用の影響、日本土壌肥料学会講
演要旨集、第46集、2000(掲載予定)
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