移植てんさいに対する石灰質資材の作条施用効果
- [要約]
- CaO換算で40kg/10a程度の石灰質資材を作条施用すると、低pH土壌における根近傍のpH上昇をもたらし、石灰欠乏症状が改善されて収量が増加する。
北海道立北見農業試験場・研究部・土壌肥料科
北海道立十勝農業試験場・研究部・土壌肥料科
[連絡先]0157-47-2146
0155-62-2431
[部会名]生産環境
[専門]肥料
[対象]工芸作物類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- pH5.5以下の圃場では土壌診断基準値以上にpHを矯正することが基本ではあるが、土壌病害発生への懸念から基準値の下限付近に圃場pHを管理せざるをえない実態があることを踏まえ、跡地土壌のpHの上昇を極力抑えつつ、土壌環境を改善するための手法として石灰質資材の作条施用効果を明らかにする。
- [成果の内容・特徴]
- てんさい圃場では、株間pHは7月で下限値に達し、耕起前に比べて平均0.7低下する(図1)。耕起前pHが5.5以下の圃場では7月の株間pHが、生育に影響する可能性が認められる(図2)。
- 炭カル、生石灰、焼成ライムケーキの作条施用は、低pH土壌における根近傍のpH上昇をもたらし(図3)、石灰欠乏症状を改善する(表1)。
- 上記資材の作条施用により、多くの圃場で糖量の増加が認められる(図4)。
- てんさいの生育・収量からみて、作条施用に用いる資材量はCaO換算で40kg/10a程度で充分である。この量は、ダブルタンク施肥機を想定した実用上も問題はない。
- pH緩衝力が比較的大きい北見農試圃場では資材施用跡地のpH上昇は認められない。
- [成果の活用面・留意点]
- 石灰作条施用は緊急避難的な技術として活用できる。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:移植てんさいに対する石灰質資材の作条施用効果(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:地域基幹農業技術体系化促進研究−低pH土壌でのてん菜に対するカルシウ
ム供給法、てんさいに対する石灰資材の作条施用効果現地確認試験
予算区分:国費助成、受託
研究期間:平成11年度(平成9年〜11年)
研究担当者:古館明洋・山神正弘
発表論文等:古館明洋・東田修司・志賀弘行,低pH土壌におけるてん菜の生育障害と軽
減対策,日本土壌肥料学会講演要旨集,46,2000(掲載予定)
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