施設栽培における亜酸化窒素発生抑制指針

［要約］

施設栽培条件下での亜酸化窒素の発生は、マルチ管理、及び堆肥・窒素施肥の肥培管理、さらに、冬期のハウス管理の改善で抑制することが可能である。

北海道立道南農業試験場・研究部・土壌肥料科
［連絡先］0138-77-8116
［部会名］生産環境
［専門］環境保全
［対象］葉茎菜類
［分類］指導

［背景・ねらい］

温室効果およびオゾン層破壊ガスである亜酸化窒素について施設栽培条件下での発生抑制の栽培管理法を明らかにする。

［成果の内容・特徴］

1. 定点観測におけるフラックス（N₂O放出量）は、土壌水分飽和度と地温が高い観測日に大きくなる傾向がある（図1）。
2. 被覆資材の開口面積が2.5％以上では、マルチによってフラックスは抑制されない。また、通気性マルチ資材（不織布マルチおよび有孔マルチ）は、フラックスを抑制しない。
3. 高温期には、透明マルチはフラックスを増加させるため、地温を抑制する白マルチを使用する。一方、低温期には、マルチ資材の色による差は認められない。
4. 堆肥施用時のフラックスは、完熟堆肥の方が、未熟堆肥よりも顕著に少ないため、完熟堆肥を用いる。
5. 堆肥と窒素肥料の同時施用はフラックスを増加させるため、施肥の1週間以上前に堆肥を施用する。
6. 冬期間にビニール被覆を排除したハウスでは、残存硝酸態窒素レベルに関わらず、フラックスが抑制される。

［成果の活用面・留意点］

低温時期の白マルチ使用は、地温上昇を妨げるので行わないこと。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分

課題名：施設栽培における亜酸化窒素（N₂O）の抑制対策（指導参考）

［具体的データ］

表1 表2

［その他］

研究課題名：施設栽培における亜酸化窒素の発生抑制技術の開発
予算区分：国費（補助）
研究期間：平成11年度（平成７〜11年）
研究担当者：林 哲央、日笠裕治
発表論文等：林 哲央、日笠裕治，施設土壌における栽培管理による亜酸化窒素の排出抑
　　　　　制，日本土壌肥料学会講演要旨集，第46集，2000