共同利用型バイオガスプラントのエネルギー収支


[要約] [キーワード] [担当]北海道開土研・農業開発部・農業土木研究室、土壌保全研究室
[連絡先]電話011-841-1764
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の活用面・留意点]
  1. 別海プラントは、表1の現状に示した性状のふん尿を受け入れている。固形ふんは固液分離して、固分は堆肥化し、液分はスラリーおよび尿汚水とともにメタン発酵させている。メタン発酵で得られる消化液は55℃・7.5時間の殺菌処理を行っている。発酵で生じるバイオガスは、コジェネレータ(電力と熱を回収できる発電機)とバイオガスボイラーで電力・熱に変換している。このほか、補助熱源として重油ボイラーを有している。発電量がプラントでの消費電力量を上回る場合は、余剰分を売電している。
  2. プラントでのエネルギー消費は、電力・熱ともに冬期に多く、夏期は少ない。現状の運転では、固液分離などの作業がある昼間に電力消費のピークが生じる。そのため、バイオガスによる発電量だけでは不足する時間帯があり、わずかではあるが買電が必要である。しかし、温室などの研究用附帯設備でのエネルギー消費を除外すると、現状の運転でも、一年を通して殺菌した安全な液肥を生産しつつ、電力・熱ともに概ねバイオガスで所要のエネルギーを自給可能である(図1図2)。
  3. 表1のように運転条件を想定してシミュレーションしたエネルギー収支によると、固形ふん尿も受け入れる想定3および想定4では、余剰電力は生じるものの、コジェネレータのみでは熱が不足するため、わずかながら重油ボイラーによる熱供給が必要である。最も余剰電力が多くエネルギー的に自立可能なのは、ふん尿を全量スラリーで受け入れる場合である(表2)。なお、シミュレーション結果は、1)いずれのケースでも研究用付帯設備を利用しない、2)全量スラリーの場合では固液分離機や堆肥化施設を使わない、3)バイオガスはコジェネレータ2台のみで利用し不足熱は重油ボイラーで補う、4)受け入れふん尿量は別海プラントでの実績をもとに舎飼期(1月〜4月)に比べて放牧期(5月〜12月)で減少させる、という条件での計算によるものである。
[成果の活用面と留意点]
  1. 酪農家や農業団体等が殺菌槽を備えた共同利用型バイオガスプラントの新規導入を計画する場合、効率的な施設構成や運転方法の検討に資する。
[具体的データ] [その他]
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