上川中央部における水稲直播栽培の導入事例および経営的効果と定着条件


[要約] [キーワード]水稲、直播、導入事例、経営的効果、定着条件
[担当]上川農試・技術体系化チーム
[連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 湛水直播栽培の収量は事例平均440(252〜601)kg/10aである(表1)。直播栽培が定着するための収量水準を経営計画法(FAPS2000)により求めると460kg/10aであり、直播栽培が経営部門として確立するためにはなお苗立ちの安定、登熟向上などによる収量水準の安定向上が必要である。
  2. 直播栽培収量を460kg/10aとし、転作率緩和による水稲作付け面積拡大の条件を与えたもとで、水田面積30haと35ha規模の水稲・すいかの複合経営において粗利益最大化となる作付け構成を検討すると、いずれの規模においても転作率緩和に対応して直播栽培面積は拡大するとともに、ハウスすいか栽培面積の維持が可能である(表2)。したがって、直播栽培は春期労働競合を回避し家族労働を主体としたもとで集約的なすいか栽培面積の確保と規模拡大の双方を可能とし経営収益拡大に寄与する技術といえる。
  3. 当麻町の直播栽培は生産者による研究会組織を中心にして農協・町・普及センター・試験場との連携活動のもとに進められている。農協は作業受委託組織を作り、播種、除草、防除作業の受託者となり生産者の作業負担を軽減させている(図1)。町は直播用機械導入を支援し、平成16年度からは直播栽培を産地づくり対策交付金の中の新技術栽培推進事業の対象とし助成措置を設けている。普及センター、試験場は地域条件に対応した栽培マニュアルを作り技術導入を進めている。
  4. 以上のことより、水稲直播栽培の定着条件として、地域に対応した栽培技術の確立、作業受委託、直播栽培研究会等の組織化、交付金などの助成措置があげられ、地域として生産者の支援、組織化に向けた施策が重要である。これらを図2に導入システムと定着条件として示す。
[成果の活用面・留意点] [具体的データ] [その他]
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