水田輪作体系における浅耕マルチシーダ導入の経営改善効果     


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・総合研究部・経営管理研究室
[連絡先]電話011-857-9489
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 開発された浅耕マルチシーダの主な特徴は、砕土・施肥・播種の同時処理、ロータリ耕深の浅層化に伴う作業速度の向上と大豆・水稲等への汎用化であり、大豆の耕起から播種作業で32%、乾田直播の耕起から播種作業で40%の作業時間を短縮する(表1)。これら短縮される作業時期はいずれも5月上中旬の農繁期が主であることから大豆・水稲等の作付け拡大が可能となる。
  2. 本機を経営に導入した場合の効果を評価するため、営農試験地(北村・砂浜地区)の30ha規模経営を想定し、表2の設定に基づき経営計画モデル(中央農研作成のXLPを用いた)を策定した。モデルの特徴は、(1)輪作の基本形を地域総合で想定している大豆−春小麦−秋小麦とし、その後再度畑輪作するか、水稲に復元するかを選択できること(図1)、(2)畑期間の長期化による減収を明示的に組み込んだことの2点にある。
  3. シミュレーションの結果、経営規模30haでは、本機導入により乾田直播面積の増加等に伴い水稲が3ha増加するが、所得は12万円の増加にとどまり、労働生産性は僅かに下回るため、導入効果が小さい。これに対し規模の制約がなく労力限界まで作業可能とした場合、旧機械体系では34haが規模上限となり所得も511万円にとどまる。一方、本機導入により規模上限が39haへと5ha拡大し、所得は608万円へと97万円増加する。規模拡大に伴い総労働時間は207時間増加するが、増加する時間当たりの所得は4,677円であり、本機導入効果は大きい(表3)。
  4. 本機導入による規模拡大の過程で作付け構成が変化した結果、夏期を中心にした遊休労働の活用が図られている(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 南空知地域水田作経営における規模拡大に活用できる。
[具体的データ] [その他]
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