循環式乾燥機を利用した上部加温通風による大豆の低損傷高品質乾燥調製法


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・総合研究部・大豆研究チーム、農業機械研究室
[連絡先]電話011-857-9265
[区分]北海道農業・総合研究、共通基盤・作業技術、共通基盤・総合研究
[分類]技術・普及



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 既存の汎用型の循環式乾燥機に、外部接点で温度制御可能なヒータと加温した空気を乾燥機上部に導くダクト、温度コントローラからなる装置を付加して、乾燥機の水分計やハンドリグの利便性を利用しながら、損傷の少ない上部から加温する循環併用型の静置式乾燥機として利用する技術である。
  2. 乾燥機のバーナの空気吸い込み口を密封し、温度調節付きの間接加熱方式のジェットヒータ(必要発生熱量15kW前後)にアルミフレキシブルダクトを図1のように接続し、乾燥機上部の点検口から加温した温風を、別の開放した点検口からの外気と混合して下層の乾燥層から乾燥機の送風機で吸引して通風する。
  3. 乾燥機内部に温度コントローラの温度センサを乾燥機庫内上部に取り付け、ヒータのON-OFF制御を行う。また、温度コントローラのリレー接点と乾燥機の送風リレー接点を直列に接続し、送風機が止まったときにはヒータの加温が自動でOFFになるようにしている。
  4. 損傷を抑えるため、およそ水分17%までは循環せずに外気を通風し、17%以下になったときに加温した空気の湿度が裂皮しない湿度以上になるような空気温度に制御する。加温温度は図2を参考に安全範囲の温度にマニュアルで設定し、子実水分が17%では湿度37〜65%、16%では湿度33〜60%の湿度の空気を通風する。また、約2.5時間程度で一順するように乾燥機の設定を変更し、循環速度を落とす。
  5. 上部から加温した空気を吸引して通風するため、下層では乾燥による歪みが緩和され、スクリューコンベアやバケットコンベアなどの搬送装置での衝撃でも損傷が低く、1%以下とすることができる(表1)。
  6. 循環併用の堆積通風方式のため、無駄なく熱を使うことができ、全体でゆっくりと乾燥し均一な15%以下の水分に仕上げることができる。17%、2tの張り込み量での乾減率は0.25〜0.35%/h程度で、乾燥による裂皮はほとんど見られない(図3表1)。農家での過去2年間、計30tの乾燥でも損傷粒は1%以下であった。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本方式の乾燥法は、吸引送風タイプの汎用型の循環式乾燥機を対象とし、大豆の張り込み量は、乾燥機容量の8割くらいを限度とし、空気の混和と風量が確保できるようにする。
  2. ダクトからの温風が直接大豆に当たらないように、上部取り付け口の下方に遮蔽板などを設ける。ヒータがOFFになった後も余熱で温度が上昇するため、その上昇分を考慮して平均の通風空気温度が基準以下になるように温度コントローラのON-OFFの設定をする。
  3. 乾燥機は大豆モードで運転し、送風機とヒータの連動、循環速度の変更はメーカに相談する。
[具体的データ] [その他]
目次へ戻る