小麦のデオキシニバレノール汚染低減のための乾燥調製法
[要約]
小麦の二段乾燥において、無通風での半乾貯留中、小麦中のDON濃度は増加する確率が高く、貯留期間を短く設定してDON濃度の増加を回避する必要がある。比重選別機の調節に市販のエライザキットと容積重測定装置を用い、短時間に目標DON濃度への低減を行うことができる。
[キーワード]
[担当]中央農試・生産システム部・機械科、クリーン農業部・病虫科、十勝農試・研究部・栽培システム科
[連絡先]電話0123-89-2287
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
小麦中のデオキシニバレノール(DON)汚染程度の暫定的な基準値が1.1ppm(1100ppb)と定められた。現地の乾燥調製施設で実施されている二段乾燥において、半乾貯留中のDON濃度推移の実態を明らかにするとともにDON濃度を暫定基準値以下に低減するための効率的な選別方法を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 小麦の二段乾燥において、無通風での半乾貯留中、子実水分14〜18%では小麦中のDON濃度は増加する確率が高く、この傾向は貯留開始時のDON濃度が高い場合に顕著である(図1)。このため、DON濃度2000ppb以上の小麦では速やかに本乾燥を行い、DON濃度の増加を回避する必要がある(図1)。
- 比重選別機によってDON濃度を暫定基準値以下に調製することが可能である(表1)。
- 小麦の比重選別における原料、製品、屑のDON濃度は、容積重と相関が高く、直線に回帰できることから、最初に比重選別機を予備稼働(約30分間)して得た製品と屑および原料のDON濃度を市販のエライザキットで測定する(所要時間65分)。次に、それぞれのサンプルのDON濃度と容積重の関係より容積重の目標値を求め、比重選別機を調節することにより、DON濃度を目標値以下にできる(表2、図2)。
- 防除等の対策を徹底し、DON汚染の低減をはかる。
- 本技術の実施にあたっては、原料小麦中のDON濃度にばらつきがあることに留意する。
- 選別原料のDON濃度が3600ppbを超える小麦の比重選別は未検討である。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分
「小麦のデオキシニバレノール汚染低減のための乾燥調製法」(普及推進事項)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:小麦子実のマイコトキシン汚染に対するリスク管理技術の開発−収穫・乾燥調製法と汚染程度評価法の開発−
予算区分:重点領域
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:竹中秀行、角野晶大、前野眞司
目次へ戻る